第7話 名誉挽回、したいなぁ
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
結局、あの後は散々だった。
爪で引っ掻かれるわ、機銃で蜂の巣にされるわ。しまいには気を失ってしまい、気がつけばリビングのソファーに寝そべっていたのだ。
当然、救芽井さんはお怒り。両親が手塩に掛けて作り上げた「救済の先駆者」を傷物にされたんだから、当たり前か……。
「全く! いくら初めてだったからって、たった一体の『解放の先導者』に手も足も出ないなんて! それでも男!?」
「男だからって皆が皆強いわけでもないだろぅ……。だいたい、なんでわざわざ俺を鍛えなくちゃいけないんだよ。お前が古我知さんに勝てる作戦を立てれば済む話じゃないのか?」
酷い言い草の救芽井に対し、俺はちょっとばかり拗ねた態度になる。
考えてみれば、俺が狙われているからといって、必ずしも俺自身が着鎧して戦わなくちゃいけないことにはならないはず。むしろ、俺を巻き込んだ形になる救芽井側が責任を持って、護衛するのが筋じゃないのか?
情けないかも知れないが、こっちの着鎧甲冑が救芽井の持つ「救済の先駆者」しかない以上、俺が生身の状態で「解放の先導者」に出くわしたって敵いっこないのは一緒なんだし。
いちいち素人をしごいて戦えるようにするくらいなら、足手まといをほったらかして打開策を探す方が建設的な気がする。うぅ、自分で言ってて悲しくなってきたぞ……。
俺が抗議の声を上げると、彼女はバツが悪そうに目を背けた。気のせいか、その頬はほんのりと赤みを帯びている……ように見える。
「そ……そんなの簡単に行かないわよ! それに、お、男の方が力が強いんだから、鍛えさえすれば効果的かも知れないじゃない!?」
しどろもどろしつつも、俺の前で腕を組み、仁王立ちする彼女。おぉ、けしからん程のボインが寄せて上げられ、揺れておる……。
「ご両親の助手とかやってた天才少女にしちゃあ、ずいぶんと曖昧な返事だなぁ。結局のところ、俺をおちょくりたかっただけなんじゃないか?」
「違うわよ! そんなことのために、あなたに――あなたなんかに、『救済の先駆者』を貸すと思う!?」
俺が皮肉っぽく尋ねると、今度はキッパリとした態度で否定された。その表情には、「先程の発言を許さない」という強い意思表示がなされている。
自分の本気を否定されたような……そんな顔だ。
「そんな言い方は二度としないで! 私は、私は真面目にっ……!」
「真面目に?」
「も、もう、知らない! 変態君のバカッ!」
ぐはぁ、「変態」と「バカ」の二重心理攻撃がぁ……。
精神を撃ち抜かれ、ショックに襲われた俺はソファーから転落する。そんな俺を一瞥した救芽井は、顔をかすかに赤らめつつ「フンッ!」と鼻を鳴らして去ってしまった。
数分の回復期間を経て、なんとか心理的ダメージから
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ