第6話 ついに俺もヒーローデビュー?
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顔をした機械人形が、フラフラと這い出して来る。うげぇ、人間じゃない分余計に気味が悪いなぁ〜。
「やるしかないな……よーし、着鎧甲冑ッ!」
俺は「腕輪型着鎧装置」にあるマイクに、勢いよく音声を入力する。
すると、目の前が真っ白な光に覆われ――気がつけば、俺は「救済の先駆者」の姿に成り果てていた。昨日まで、この姿をテレビや新聞で眺めてるだけだったのが嘘みたいだな……。できるだけ全身を見渡してみると、スーツが俺の体に合った形になってるのがわかる。
これが現実であると確認するために、俺は機械の鎧に包まれた両手で、頬を叩いてみる。微妙に衝撃は感じるけど……全然痛くない。
改めて着鎧甲冑の凄さに感心していると、『実戦でそんなことしてる暇なんてないわよ!』と救芽井に怒られてしまった。あぁそうだった、俺って今戦わなくちゃいけないんだっけ。
実戦を演出するためなのか、「解放の先導者」との戦いはゴングもなしに始まった。姿を見せるなり、奴はいきなり襲い掛かって来たのだ。
「解放の先導者」は両手を広げて、覆いかぶさるように迫って来る。それに対して、俺は両腕で頭を守るようにしながら、右足の膝を上げた。少林寺拳法で言うところの、「待ち蹴」の体勢だ。
相手が仕掛ける瞬間、こっちから蹴りを決めて距離を取る――言うなれば、「カウンター」の技だ。
少林寺拳法には「守主攻従」という、守りを第一にした原則ってものがある。自分からガンガン仕掛けるやり方は、俺には合わないってことだ。
「はッ!」
早すぎればかわされ、遅すぎれば攻撃を喰らう。そんな微妙なタイミングで、俺は短い気合いの声と共に、上げた膝を伸ばして蹴りを放った。
金属同士が激しく接触する音が鳴り響き、奴の突進が止まる。や、やった! 決まったぞ!
『……ほほぉ』
通信機越しに、ゴロマルさんの感嘆の声が聞こえて来る。どやっ! 兄貴仕込みの蹴りの味はっ!
……などと喜ぶ暇もなく、再び奴は俺に向かって来た。おいおい、一応みぞおちは狙ったはずだぞ!? もう少し痛みに悶えてもいいんじゃないか!?
「――くそッ、なら!」
でも、今は焦ってる場合じゃない。
俺は二、三歩距離を取り、今度は左足の膝を思い切り上げる。さらに、その向きを右斜めに曲げた。
空手にもある、人間の顎にある急所「三日月」を狙い撃ちする「三日月蹴り」だ。顎の横を薙ぎ払うように蹴る技なのだが、これは急所を狙うというだけあって危険なものでもある。
だけど、相手は人間じゃない。人間みたいに動くだけの、機動兵器に過ぎない! ならば、手加減は無用ッ!
「だああッ!」
スパッと振り抜かれた俺の蹴りが、奴の顎を掠めていく。そして
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