第5話 空気は読まないスタイル
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
公園を舞台にした、無駄に壮大な決闘。
最初に仕掛けたのは、救芽井の方だった。
「はああああッ!」
地を蹴って駆け出す彼女は矢のように襲い掛かる――けど。
「おお、よく見える見える」
感心するような声を上げる古我知さんに、あっさりと投げ飛ばされてしまった。
「あううっ!?」
巴投げを喰らってブランコにぶつけられる「救済の先駆者」。あぁ、子供達の憩いの場が見るも無残な姿にぃ……。
――それにしても、「見える見える」って……古我知さんは何が見えたっていうんだ? 救芽井のぱんつか?
確かにそれは、この季節にミニスカを履いていた彼女の自己責任だとは思うが、覗きなんて分別のないことをいい大人がするなんて――
「君の対『解放の先導者』用格闘術のデータは全て、この『呪詛の伝導者』にインプットされてるからね。君の動きは僅かなモーションだけでも完璧に見切れるのさ」
――あ、なんか違うっぽい。思ったより真面目なものを見ていたようで、なんだか申し訳ないなぁ。
考えてみれば、そもそも今の救芽井は変身してるんだから、どんなに頑張ったアングルでもぱんつは見えないはずだ。うーん、知らない間に煩悩が渦巻いていたようだ。
そうやって俺が一人で悶々としてる間に、救芽井が起き上がってきた。ブランコの鉄柱の部分にぶつかっていたから、さぞかし痛かっただろうに……。
「やりますね。でも、まだまだこれからです!」
あら。なんだか平気でいらっしゃるみたい。着鎧甲冑ってずいぶん頑丈なんだな……。
「もう諦めたら? 大人しく『救済の先駆者』を捨ててくれれば、怪我させずに済むんだけどなぁ」
「ふざけないでッ! お父様達の願いを――そんなことのためにッ!」
「やれやれ……強情っ張りなのは親子そっくりだね」
古我知さんはため息混じりに、腰からピストルを引き抜いた。おいおい、こんなところで発砲する気かよ!?
「させないッ!」
ピストルを使わせまいと、救芽井は再び「呪詛の伝導者」に襲い掛かる。心なしか、「銃声を上げられては困る」と慌てているようにも見えた。
「だよね〜……僕も使いたくないなッ!」
すると、古我知さんの方も――駆け出したッ!?
「――ッ!?」
銃を撃つのかと思いきや、そのまま突進してきた相手に動揺したのか、救芽井はピタッと動きを止めてしまう。その一瞬の隙を突いて、古我知さんは持っていたピストルの銃身で彼女を殴りつけた。うわぁ痛い!
「あううッ!」
救芽井は思わぬカウンターを喰らい、地べたにたたき付けられてしまう。ちょちょ、これってかなりマズイ状況なんじゃないか!?
「ようやく大人しくなってくれたね。さ、お父様とお母様のところに行こうか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ