暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第1章 巷で噂のスーパーヒロイン
第4話 ひとまず観戦
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りながらも、ただひたすら唸り続けていた。
 そして、やっとの思いで圧し掛かり続けていた機械人形を排除し、目の前の状況を確認する。

 「解放の先導者」とかいうロボットは全滅し、その屍の上には救芽井が立っている。そして、彼女の視線の先にはピッチリと黒いスーツを着こなした男の人が立っていた。肩まで掛かった焦げ茶色の髪が、なんだかホストみたいだ。

「おやおや、本当に頑張り屋なんだね。樋稟ちゃん」
「剣一さんッ……!」

 公園を舞台に、対峙する美男美女。剣一さん……ってことは、あのイケメンお兄さんが例の「古我知剣一」ってことなのか。てことは一連の事件の黒幕……ってことになるんだろうけど、あんまりそういう風には見えないなぁ。身長が百五十九センチしかない俺が言うのもなんだけど、見るからになよなよしてる感じだし。

 ――だけど、救芽井の面持ちはかなり深刻って感じがしてる。万引きがバレた悪戯っ子みたいだぞ。

「あーあー、僕のおもちゃを好き勝手に壊してくれちゃって。『解放の先導者』だってタダじゃないんだから、もう少しソフトに扱ってくれないかなぁ」
「ふざけないでください! ここで会ったが百年目、お父様とお母様を返して頂きます。それに、『解放の先導者』のプラントも必ず摘発します」
「おお、怖い怖い……。そんなこと言われると、抵抗したくなっちゃうなー。僕!」

 古我知さんの目付きが、降り積もる雪にも劣らぬ冷たさを見せる。おお……悪い顔してんなぁ。
 よく見てみると、あの人の右腕には、救芽井が嵌めてるブレスレットと同じようなものがある。色は黒いけど、形状は全く同じだ。「腕輪型着鎧装置」……だっけ?

 古我知さんは右腕をゆっくりと自分の胸の前に上げ、不敵に笑う。

「着鎧、甲冑」

 そして、何かを呟いたかと思えば――あっという間に、その姿が光を帯びて早変わりしてしまった。

 真っ黒のメカメカしい鎧で全身が覆われていて、見るからに「強そう」なイメージを与えるフォルム。加えて、よく見れば関節の部分は真っ赤に塗装されてる。『救済の先駆者』もそうだけど、こっちもなかなか特撮ヒーローみたいでカッコいいデザインではないか。唇を象った部分があるマスクなのは、どっちも同じみたいだけど。
 バイザーの色は「救済の先駆者」と違って、真っ赤。なんか禍々しい色遣いだなぁ。
 なんか腰に剣とかピストルとか差さってるし、確かに戦闘用って感じの出で立ちだよな……これが例の「呪詛の伝導者」って奴なのか?

 いやぁ、まさか本物の変身ヒーローを間近で見られるなんて思いもしませんでしたよ。悪者なのが惜しまれるが。

 ――つーか、本当はこんな呑気なこと言っていい状況じゃないんだろうな。俺一人が「蚊帳の外」なだけで。

「剣一さん。申し訳あ
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