第1章 巷で噂のスーパーヒロイン
第4話 ひとまず観戦
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りながらも、ただひたすら唸り続けていた。
そして、やっとの思いで圧し掛かり続けていた機械人形を排除し、目の前の状況を確認する。
「解放の先導者」とかいうロボットは全滅し、その屍の上には救芽井が立っている。そして、彼女の視線の先にはピッチリと黒いスーツを着こなした男の人が立っていた。肩まで掛かった焦げ茶色の髪が、なんだかホストみたいだ。
「おやおや、本当に頑張り屋なんだね。樋稟ちゃん」
「剣一さんッ……!」
公園を舞台に、対峙する美男美女。剣一さん……ってことは、あのイケメンお兄さんが例の「古我知剣一」ってことなのか。てことは一連の事件の黒幕……ってことになるんだろうけど、あんまりそういう風には見えないなぁ。身長が百五十九センチしかない俺が言うのもなんだけど、見るからになよなよしてる感じだし。
――だけど、救芽井の面持ちはかなり深刻って感じがしてる。万引きがバレた悪戯っ子みたいだぞ。
「あーあー、僕のおもちゃを好き勝手に壊してくれちゃって。『解放の先導者』だってタダじゃないんだから、もう少しソフトに扱ってくれないかなぁ」
「ふざけないでください! ここで会ったが百年目、お父様とお母様を返して頂きます。それに、『解放の先導者』のプラントも必ず摘発します」
「おお、怖い怖い……。そんなこと言われると、抵抗したくなっちゃうなー。僕!」
古我知さんの目付きが、降り積もる雪にも劣らぬ冷たさを見せる。おお……悪い顔してんなぁ。
よく見てみると、あの人の右腕には、救芽井が嵌めてるブレスレットと同じようなものがある。色は黒いけど、形状は全く同じだ。「腕輪型着鎧装置」……だっけ?
古我知さんは右腕をゆっくりと自分の胸の前に上げ、不敵に笑う。
「着鎧、甲冑」
そして、何かを呟いたかと思えば――あっという間に、その姿が光を帯びて早変わりしてしまった。
真っ黒のメカメカしい鎧で全身が覆われていて、見るからに「強そう」なイメージを与えるフォルム。加えて、よく見れば関節の部分は真っ赤に塗装されてる。『救済の先駆者』もそうだけど、こっちもなかなか特撮ヒーローみたいでカッコいいデザインではないか。唇を象った部分があるマスクなのは、どっちも同じみたいだけど。
バイザーの色は「救済の先駆者」と違って、真っ赤。なんか禍々しい色遣いだなぁ。
なんか腰に剣とかピストルとか差さってるし、確かに戦闘用って感じの出で立ちだよな……これが例の「呪詛の伝導者」って奴なのか?
いやぁ、まさか本物の変身ヒーローを間近で見られるなんて思いもしませんでしたよ。悪者なのが惜しまれるが。
――つーか、本当はこんな呑気なこと言っていい状況じゃないんだろうな。俺一人が「蚊帳の外」なだけで。
「剣一さん。申し訳あ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ