暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第162話
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 むしろ、恭介が泊まってくれる方がウチは嬉しいよ。」

愛穂の顔色を窺う。
カエル顔のメンタルケアは問題ないように見えたが、どこか無理をしている感じがした。。
義手と義足に視線を向ける。

「リハビリはどうだ?」

「まずまずってところ。
 ようやく少しだけ歩けるようになったじゃん。
 でも、もう少し退院は先みたい。」

「無理はするなよ。」

「分かっているじゃん。」

その時、愛穂の名前を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら休憩時間は終わりの様だ。
愛穂は手すりを掴みながらゆっくりと立ち上がる。

「んじゃあ、頑張ってくるじゃん。」

そう言ってゆっくりとリハビリのサポートする人の元に向かう。
麻生はリハビリ室を出ると、カエル顔の医者に出会う。

「黄泉川君のお見舞いかい?」

「そうだ。
 調子はどうなっている?」

「リハビリは問題ないよ。
 むしろ順調だ。
 けど、問題は精神面だね。」

「見た限りは大丈夫そうだったが。」

「アレはそう振る舞っているに過ぎないよ。」

麻生が感じたのは気のせいではないようだ。

「毎晩うなされる様な声が聞こえるらしい。
 何があったか知らないが、相当きているね。」

「これを渡しておいてくれ。」

渡したのは蒼い袋に包まれたお守りだった。
『護』という文字が刺繍されている。

「分かった。
 彼女に渡しておくよ。」

「頼んだ。」

渡し物を渡した麻生はそう言って彼から離れる。
そのまま病院を後にして、今度こそマンションに向かった。




麻生が上条の部屋で料理を作っている頃。
制理は荷物を纏めてマンションに着いた。
麻生に貰ったカードを使って中に入る。
一三階について、部屋に入ると桔梗がコーヒーを作っていた。

「あら、いらっしゃい。」

「今日からよろしくお願いします。」

頭を下げて制理は言う。

「この部屋の持ち主は入院中だから私に言うのも変だけどね。
 コーヒーいる?」

「は、はい。」

もう一つマグカップを取りだし、コーヒーを入れる。
ミルクや砂糖などを入れるか入れないかを聞いて、入れたコーヒーをテーブルの上に置く。
二人とも椅子に座って、出来上がったコーヒーを呑む。

「おいしいです。」

「ありがとう。
 研究とかでよく作ってたから、どんどん上手くなってね。」

「その持ち主が入院ってあの人ですか?」

「そう、黄泉川愛穂。
 今は入院してリハビリしているわ。」

簡単な事情は病院で聞いている。
離す会話がなくなり、沈黙が続く。
コーヒーを飲む音と、時計が動く音しか聞こえない。

「ねぇ、吹寄さん。」

すると、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ