第162話
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むしろ、恭介が泊まってくれる方がウチは嬉しいよ。」
愛穂の顔色を窺う。
カエル顔のメンタルケアは問題ないように見えたが、どこか無理をしている感じがした。。
義手と義足に視線を向ける。
「リハビリはどうだ?」
「まずまずってところ。
ようやく少しだけ歩けるようになったじゃん。
でも、もう少し退院は先みたい。」
「無理はするなよ。」
「分かっているじゃん。」
その時、愛穂の名前を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら休憩時間は終わりの様だ。
愛穂は手すりを掴みながらゆっくりと立ち上がる。
「んじゃあ、頑張ってくるじゃん。」
そう言ってゆっくりとリハビリのサポートする人の元に向かう。
麻生はリハビリ室を出ると、カエル顔の医者に出会う。
「黄泉川君のお見舞いかい?」
「そうだ。
調子はどうなっている?」
「リハビリは問題ないよ。
むしろ順調だ。
けど、問題は精神面だね。」
「見た限りは大丈夫そうだったが。」
「アレはそう振る舞っているに過ぎないよ。」
麻生が感じたのは気のせいではないようだ。
「毎晩うなされる様な声が聞こえるらしい。
何があったか知らないが、相当きているね。」
「これを渡しておいてくれ。」
渡したのは蒼い袋に包まれたお守りだった。
『護』という文字が刺繍されている。
「分かった。
彼女に渡しておくよ。」
「頼んだ。」
渡し物を渡した麻生はそう言って彼から離れる。
そのまま病院を後にして、今度こそマンションに向かった。
麻生が上条の部屋で料理を作っている頃。
制理は荷物を纏めてマンションに着いた。
麻生に貰ったカードを使って中に入る。
一三階について、部屋に入ると桔梗がコーヒーを作っていた。
「あら、いらっしゃい。」
「今日からよろしくお願いします。」
頭を下げて制理は言う。
「この部屋の持ち主は入院中だから私に言うのも変だけどね。
コーヒーいる?」
「は、はい。」
もう一つマグカップを取りだし、コーヒーを入れる。
ミルクや砂糖などを入れるか入れないかを聞いて、入れたコーヒーをテーブルの上に置く。
二人とも椅子に座って、出来上がったコーヒーを呑む。
「おいしいです。」
「ありがとう。
研究とかでよく作ってたから、どんどん上手くなってね。」
「その持ち主が入院ってあの人ですか?」
「そう、黄泉川愛穂。
今は入院してリハビリしているわ。」
簡単な事情は病院で聞いている。
離す会話がなくなり、沈黙が続く。
コーヒーを飲む音と、時計が動く音しか聞こえない。
「ねぇ、吹寄さん。」
すると、
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