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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
「11」 その2
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刻印が浮かび上がっていた。
時々声を掛けられたりしたが、少女は反応しない。
やがて人気のない場所に着くと、1人の青年がいた。
その手には一本ずつナイフが握られ、右手に持つナイフを弄びながら彼は彼女の到着を待っていた。


「やっと来たんだ。ちょっと遅かったかな。」


青年がパチンと指を鳴らすと項に浮かび上がっていたタトゥーが消滅し、少女の意識が戻る。
意識が覚醒した少女は、目の前の状況を整理できずに戸惑っている。
青年はそんな少女に近付き、薄気味悪い笑顔を見せた。


「だ......誰.....来ないで!来ちゃ嫌!」


怯えて足が竦む少女に青年はジリジリと迫る。
青年は構えることなく、ナイフを持ったままフラフラと歩く。


「んじゃまぁ、サクッと終わらせるかぁ。」














翌朝のことだ。
俺たちは再び点呼と共に例の情報を聞かされる。
そう、昨晩も例の事件が発生したのだ。
しかも今回は厳重な警備態勢を整えたのにも関わらず、昨晩ホテルを出ようとする彼女を捉えられなかった。
幸い今回の被害者も負傷したが、致命傷を負ってはいないらしい。

やっぱり現場を確かめに行くしかないと俺は思った。
恐らく今回もマーリン学園長が千里眼によって最低限現場の特定は済ませてくれているはずだ。
ならきっとそこに安洛寺先輩が向かう。
あの人はそれなりに頭の働く人だと一目で理解した。
俺が最初の被害者を事件の直前に目撃した目撃者だと告げれば、捜査に協力させてくれるかも知れない。

その日の朝。
俺は安洛寺先輩を見つけ出し例のことを話した。
安洛寺先輩はとくに俺の発言を疑うわけでもなく、一通り俺に話させた。


「洗脳系統の魔法か.....だが、一番の問題は被害者は事件の前後と犯人に関する記憶を持ってないことだ。」

「突然発動して意識を失ったりしたら他の人に目撃されていてもおかしくないですよね。」

「となれば、発動するトリガーの1つは睡眠か。」


こんな具合で先輩と話を進めていった。
その結果と言っては何だが、先輩の副会長の権限もあって俺は捜査メンバーの1人になることが許された。
ついでに暮斗もメンバーに入った。
あとで聞かされた話だが、捜査メンバーには各学年の主席と次席が強制参加させられており、俺のように自主的にメンバーに入ろうとする生徒はかなり珍しいらしい。


「とにかく本人に事件について聞いてみるか。」


百聞は一見にしかずというやつだ。
頼れる先輩からの情報提供とは言え、やっぱり俺は自分の足で直接聞きに行くほうが良いと思っている。
そして病室に着くと、そこにはなぜか第一学年序列2位のエリナ・ルビーエヴァンズが
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