狂った男と意識の中に通る声
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ラディールは怪鳥じみた笑い声を洩らしながら、剣に全体重をかけてきた。それを三つの手で支える。しかし、麻痺のせいで力がうまく出せないため、どんどん剣が降下し始める。どんどん意識が遠くなるにつれ、時間が止まったような感じになり、あの声が聞こえてきた。
『よう、俺を使えよ。死にたくねえんだろ。前みたいに勝手に使えないからよ、許可出してくれよ』
生きれるんならここでこいつに任せればいい、そう思って声を出そうとするが別の声が聞こえてきた。
『こいつの言うこと聞くんじゃねえぞ。今度は意識を狩られて二度とお前の体にもどれなくなるぞ』
聞いたことのない声が聞こえてくる。
『パス!!何勝手にこっち来てんだよ!!しかも無駄なこと言いやがって!!」
『パス?……お前、ここに出てきてるこいつの仲間か?』
『こいつらの仲間と言っていいが、俺はこいつらの目的には正直興味がねえ』
『けっ!最近出来た野郎がなに言ってやがる』
『最近出来た?どういう意味だ?それにこいつらって言うことは他にもいるのか?それに目的ってなんだ?』
『さあね。それより使うの?使わないの?』
『さっきのパスっていう奴の言う通りなら俺はお前を使わない』
『そのほうがいい』
『チッ!体があったらお前をぶっ殺せるのによ。パス』
『残念だったな。チェンジャー。そんな体は俺らにゃねえよ』
『チェンジャー?交代?』
『じゃあ、俺は帰る』
そう言ってパスと言う奴の声が聞こえなくなった。
『チッ、どうせ使われないならこっちにいる意味ねえし……。帰るか。おい、ゲツガ、死ぬんじゃねえぞ。死んだら目的が達成できないからな」
『どういう意味だ!目的って何だ!?』
そう叫ぶがもう何も帰ってこない。そして止まっていたと思ってた時間が動き出す。
「死ねーーー!死ねぇぇぇーーーー!!」
さっきのことよりも今はこっちのほうが大切。クラディールが刺している剣を引き抜こうとまた必死に力を込める。しかし、どんどん深く突き刺さっていく。そしてもう最後の一ドットのとき、二つの紅白の風が目の前を通り過ぎた。そしてその風は殺人者と俺らに刺さっていた剣ごと吹き飛ばした。
「……間に合った…間に合ったよ……神様……間に合った……」
「よかった……何とか間に合ったよ……」
震える二つの声のほうを向くと、アスナとユキがいて俺らのほうによってくる。
「……生きてる……生きてるよねキリト君……」
「……ああ……生きてるよ……」
「ゲツガ君……大丈夫……?」
「ああ……何とかな……だけど腹の感覚がもう無えよ……」
そう言うとアスナとユキは回復結晶を取り出して胸の辺りに当てて、ヒールと叫ぶ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ