狂った男と意識の中に通る声
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五十五層のフィールドは植物の少ない荒野地帯で出るモンスターは、ゴブリンやオーク、それにトカゲのようなモンスターと言った感じだ。キリトがさっさと終わらせたいと言うことで速く行こうと主張したがゴドフリーはそれを拒否した。どうせ、筋力値に振りすぎて俊敏力をないがしろにしてるからだろう。俺のように筋力値極振りで一定のバランス感覚と着地のときの衝撃吸収さえ覚えておけば跳ねれるのに。(お前は規格外なだけだby暗黒少年)
……なんか、聞こえたような気がするが気にしないで進む。何度かモンスターに遭遇したが俺とキリトはゴドフリーの指揮に従わず全て一撃で切り伏せた。やがて小高い岩山を越えた時、灰色の石造りの迷宮区がその威容を現した。
「よし、ここで一時休憩!!」
ゴドフリーの野太い声にパーティーメンバー全員立ち止まる。一気に迷宮区を突破したいのだがどうせ聞き入れてもらえないだろうとため息をつき、キリトの隣に腰を降ろす。
「では、食料を配布する」
ゴドフリーはそう言うと革袋の包みを五つ出し、二つを放ってくる。それを受け取って、まったく期待せずに開けると、中には水とNPCショップの固焼きパン入っていた。
今日は午前中だけで終わって帰った後にユキとともに料理を作るはずだったため、自分で作った昼食を持ってきてない。こうなるんだったら持って来るべきだったと思い、水の瓶から栓を抜き一口煽る。
その時、ふと妙な視線がこちらに向いているのに気付く。目だけでそのほうを見るとクラディールは俺らが水を飲むところを見て口の端がわずかだが吊り上るのが見えた。素早く口の中の水を吐く。
しかし、行動が遅すぎた。吐いた瞬間、力が抜けてその場に崩れ去る。そして俺の上にキリトがかぶさるように倒れてくる。視界の端っこにあるHPバーを確認すると、普段は存在しないグリーンに点滅する枠に囲まれていた。それには見覚えがある。三十九層、俺にとって嫌な出来事でしかない事件のときにも受けた麻痺毒だ。
ゴドフリーともう一人の団員も同様に麻痺になって動かなくなっている。素早くポーチに手を伸ばして解毒ポーションを探すが生憎今日は持ち合わせてなかった。
「クッ……クックックッ……」
甲高い笑い声が耳に届く。岩の上でクラディールが両手で自分の体を抱え、全身をよじって笑っていた。
「クハッ!ヒャッ!ヒャハハハハ!!」
そして、堪えきれないと言うように天を仰いで哄笑する。そんななか、ゴドフリーは呆然とした顔で眺めながら言う。
「ど……どういうことだ……この水を用意したのは……クラディール……お前……」
「速く解毒結晶を使え!!」
「ゴドフリー!!速く!!」
俺とキリトが叫ぶとゴドフリーはようやく手を動かしてパックを探る。
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