6時間目
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足元まで吹き飛ばす。
「立てるか、茶々丸!?」
「問題ありません、マスター、……しかし」
と彼女が視線を落とすと、胴体部の一部に凹みが生じているのがわかった。
「これは、あとで博士に怒られますね」
「それは仕方あるまい、だがあれはどういうことだ」
エヴァンジェリンは先ほどまで千雨がいた場所、千雨が自然体でたたずんで対峙していたあの場所へ視線を移す。
そこにはもちろん誰もおらず、この場にいるのは千雨と彼女たち三人のみだ。
「一瞬たりともあいつから目を逸らさなかった、だが事実私はあいつが背後に迫るまで気がつかなかった」
そこが彼女にはわからなかった。
瞬動や縮地の使い手ならこれでもかというほど見てきた。
その経験からか目の前の狐の女が使う瞬動が自分が見失うほど速く上手いものだとは思えなかった。
事実、ネギ先生の前で見せたあれは目で追えていたし、茶々丸も補足できていた。
機械の目と戦士の目、その両方を欺き不意を衝くほどの技術。
さらには彼女が常時展開している障壁を貫通して一撃を与える拳。
そのどちらとも彼女にとっては脅威と言えた。
(闇の魔法を使うか、いや大魔法すら被害が大きいのにあれは使えん、どういうトリックかは知らんがまずはあいつの手品の種を割るしかない)
本来、千雨の実力でここまでエヴァンジェリンを追い詰めることはできない。
しかし、ここが麻帆良学園であることとエヴァンジェリンが千雨の力を知らないという二つの要因が千雨を後押ししていた。
エヴァンジェリンは昔から女子供は殺さないという信条を持っている。
その上ここは囚われているとはいえ無関係の人間が大勢存在する学園都市だ、死者を出すような威力の大きい魔法は使えない。
となれば必然、格闘戦か威力の低い魔法で勝負する必要があるのだが――
「それじゃあ、もう一度いくぜ」
そう言って、千雨の姿が消える。
同時に背後をとられないように茶々丸とエヴァンジェリンはお互いに背を預ける体勢になり、千雨を待ち構えるが、
「残念、外れだ」
上から聞こえてきた声に、二人はすぐさまその方向へ振り向く。。
二人から数メートル上方に、千雨は両手を彼女たちに向ける体勢で浮遊していた。
「必殺の、『マスタースパーク!!』」
千雨の両手のひらの八卦が描かれた金属から膨大な虹色の奔流が二人に迫る。
エヴァンジェリンはそれを咄嗟に回避することに成功するが、
「すみませんマスター、左腕部を損失しました」
完全には避けきれなかった茶々丸はその左腕を光に飲み込まれ、そのまま引きちぎられていた。
「いやいい、それよりもあいつから絶対に目を離すな」
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