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真剣で納豆な松永兄妹
第十九章 努力、智略、勝利
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出して受け流す。
川神百代から放たれたビームはその軌道を上にそらされ、天に登り、消えた。

「受け流したか……」
「はぁ、はぁ。だいぶ気を使ったけどな」

言葉通り、川神百代は松永久秀の消費を感じ取っていた。

「少しずつ久秀の底が見えてきたぞ」
「はっ! 阿呆が!」

松永久秀の言葉を川神百代は挑発と取った。
実際、気の消費は激しいものであり、川神百代に勝利を確信させるには充分なものであった。

「従来通り、少しずつ久秀を嬲って仕留めてやろう」

川神百代は、孤独である。
強過ぎるのだ。
彼女に対戦を申し込む相手は殆どが瞬殺される。
その為、少し強い相手に対して川神百代は戦闘を長引かせて楽しむ癖がある。
強過ぎるがゆえ、力の調整をしてしまう悪癖である。
それを理解している松永久秀は、心の中で嗤う。
川神百代の攻撃は勝利を確信して荒っぽくなっている。
確実に仕留める為の攻撃ではなく、相手の気力、体力を削ぐ攻撃だった。
だからこそ、隙が出来る。
荒くなった攻撃。
いつもの通り、川神百代は松永久秀を吹き飛ばすつもりで放った拳を松永久秀は躱す。
そして、掌に電撃を乗せた一撃を腹の急所に寸分たがわず的確に打ち込む。

「ぐあっ……、痛いな。だが、まだまだ瞬間回復が……、回……復……!? 回復しないだと!!」
「電撃ダメージは身体に蓄積される。それは、百代の身体の回復機能を麻痺させるんだよ」

ようやく、ようやく効いてきた。
拳を重ねること数十回。
川神百代の瞬間回復を麻痺させることに成功した。
さらに、瞬間回復しない驚きと、電撃ダメージが残っている川神百代は動けない。
最大のチャンスであり、それを見逃す松永久秀ではなかった。

「はぁああっ!」

瞬間的に気を引き出す。
闘気、勇気、殺気――。
ありったけの気を掘り起こして打つ。
腹部急所、蹴り。
胸部急所、掌打。
頭部急所、打撃。
攻撃は、刹那に三回。
それを見切れた者は会場にいた数人であった。

「それまで! 勝者、松永久秀――!!」



――武神・川神百代、敗北。
この事実は即日、全世界に報道されることとなった。
各国の首相は世界の動きに注意しつつ、武神に敗北を与えた人物を知る事になる。
TV、インターネットで放映されたヒーローインタビューで全世界は松永を知る。
インタビューでちゃっかり、松永納豆を宣伝した松永久秀は、公式戦無敗の記録と共に松永家の名と松永納豆を各地、各国に広めた事になる。
もう一度川神百代と戦ったら勝てるかという問いに、松永久秀は無理だと答えていたが、日本人特有の謙虚な姿勢と多くの世界は捉えていた。
そして、様々な人に衝撃を与えたタッグマッチトーナメントは終了となった。

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