第35話 エイリス式紅茶会とトランプ外交 Ev15
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日本帝国の帝もアドルフ総統ほどの独裁的な権力はないです》」
「わが国のダイヤのクィーン<?Q>も似たようなものです。ジャックの支持なしには成り立ちません。
伏見卿のお国でもジャックは一枚岩ではないでしょう?」
「お互いに勝負をするのであれば、弱いカードを取り除くことが先決だと?」
「そうなりますね」
「わかりました。それではジャックのカードはこちらで引き受けましょう」
「こちらから交換できる札はありますか?」
「数字は問いませんのでハートのカードを何枚か頂ければ充分です」
「うふふっ。ダイヤのキング<?K>は良いのかしら?」
「ダイヤのキング<?K>は、また別のゲームで必要になると思いますが?」
「アキティには婚約者がいると聞いたけど?」
「はい。日本におりますが何か?」
「それならダイヤは差し上げますわ。私からのお近づきの印よ。アキティのこと気に入ったの」
「よろしいので?」
「うふふっ、だって貴方は一か月以上も欧州で他の女性と遊んでいるですから、
ダイヤくらいプレゼントに持って帰ってご機嫌を取ってあげないと男が廃るわよ?
わたくしが同じ立場でしたら他のボーイフレンドの元にいってしまいますわ」
「困ったお方だ……貴女という方は……」
モンゴメリー卿がやれやれと呟いている。
ダイヤの引き渡しは女王エリザの独断かもしれないが、非公式の場とはいえ発言の意味は大きい。
夕食後にはチャーチル卿からアフターディナーテイーの誘いを受ける。
食後は男性はライブラリー(書斎)に、女性はドローイングルームへと分かれ、お茶やお酒と共に会話を楽しむ。
チャーチル卿に案内された書斎にはロレンス卿とモンゴメリー卿が待っていた。
公にできる書面と、公にできない書面の内容を確認し合ってサインを交わす。
こうして日英の外交交渉は一先ずの区切りを迎える。
互いにホッと息をつくと秘蔵のスコッチやブランデー、ボートワインに舌鼓を打ちながら……
ロンドンでの最後の夜が更けていった。
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