第35話 エイリス式紅茶会とトランプ外交 Ev15
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オフランス式庭園に対して自然の景観美を追求したエイリス式庭園の風景は、
同じく自然美の景観を大切する日本人の美意識に近く心が自然と落ち着く。
「伝統的なスタイルでは堅苦しいと思い、このような場を設けましたが如何でしたか?」
「お気遣いありがとうございます。モンゴメリー卿」
皿に用意されているお菓子もエレガントな小ぶりのものだ。
お茶の葉も優雅でエレガントな華やかな香りや風味を強調するものではなく、
飲みやすいものが選ばれている。インドカレー星域の名産品セイロン紅茶だろうか?
日本の茶道でいえば茶室ではなく野点だろうか。細かい作法は必要ないという気配りだ。
おもてなしの精神は各国の文化の中にそれぞれ違った形で存在している。
和やかな会談を交わしながらモントゴメリーがトランプのカードを取り出した時。
「は〜い、モンティ〜♪ 私も見学させてもらっても良いかしら?」
場違いなほど明るい声でテーブルに加わって来たのは、
先代女王であり、女王セーラの母でもあるエリザ・ブリテンだった。
原作ゲームでは濡れ場は描かれていなかった気がするが、
10代後半の娘がいるとは思えないほど若々しく熟女趣味ではない僕でも十分に守備範囲だ。
「伏見卿よろしいかな?」
「ええ、しかし美しい女性に側で見られていると思うと、
手札を持つ手が震えてしまうかもしれませんね……」
「あらあら、なかなかお上手ねぇ。ねぇ、アキティって呼んでいいかしら?」
イヤだけど僕はNOとは言えない日本人だ。古今東西の押しの強いマダムには滅法弱い。
立場のある二人の雑談が、周囲から密談と受け取られないように第三者を交えるのは問題ない。
今までの非公式の場も一対一の会談は一度もなかった。
ロンドンに来て女王セーラ・ブリテンとは謁見の間で一度だけ挨拶を交わしただけだ。
今回の日英停戦交渉は国家間の秘密交渉に近い。
公の場で無条件降伏を打診した総統代理のゲッペルスと違い。大日本帝国は表には出てないのだ。
にも拘らず情報を漏らした馬鹿が日本にはいるが……。
そういう状況で先代女王エリザとは大物が出て来たと言える。
交渉期日も迫り相手も踏み込んだ内容の情報を交わしたいのだろう。
手が震えるというのはお世辞ではない。実際に緊張しているのだから――。
「でも、アキティなら、このゲームも、きっと上手に出来ます。私が保障してあげます」
「エリザ様……」
童女のような自由奔放な顔と、凛々しくも威厳に満ちた顔を巧みに使い分けて答える。
「いえいえ、所詮は(私など)クラブのジ
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