第十八章 VS川神百代
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「いよいよエキシビジョンマッチの始まりです」
葵冬馬が試合会場の隅に移動していく。
確かにあそこは特等席だ。
「コレは正式な勝負だ。時間切れはない。白黒つくまで徹底的な勝負だ」
「ああ、それは俺の望むところだ」
「いい度胸だ。正式に勝負したかった。……待ち遠しかったぞ久秀」
俺は考えていた。
嫌われるのは俺で良い。
ならば、約束してもらおう。
「――試合前に3つだけ良いか?」
「うん? 何だ? 今更怖気づいたか?」
「いや、まず1つ、勝負後も燕ちゃんと今までと変わらないお付き合いをお願いしたい」
「まるで死亡フラグだな。久秀とは今まで通りの付き合いをしなくていいのか?
「それに関しては好きにしろよ。2つ目、どうして俺達が今まで無敗だったのかわかるか?」
「作戦をしっかり立てているからだろ? 葵冬馬も駒として使っていたじゃないか。まあ飾りだったが」
少し棘のある言い方だと思う。それに、葵冬馬のことも気付かれていた。
「それもあるけど、勝つと確信した相手以外とは正式な勝負を請けないのが無敗の理由」
「ほぅ、という事は、今の私には勝てると?」
「そうなるな。今の川神百代にならば勝てる」
「……牙を剥いてきたな」
そう、今の川神百代になら勝てる。
「最後に1つ。一応、家長のおとんに許可をもらうからマイク借りるよ」
司会者である田尻耕からマイクを借りた。
「おとん。一応聞いとくけど、全力出して良いよね?」
巨大モニターにおとんが映る。しかもマイクまで渡されてた。
「うん。松永家家長、松永久信がその名に置いて松永久秀が全力を出すことを許可するよ」
没落している松永の家名。
その為には金と力がいる。
松永久信は、松永にも力が必要だと考えていた。
だから、長男である松永久秀に力に重きを置いた鍛錬を。
長女である松永燕には技とスピードに重きを置いた鍛錬を。
九十九髪茄子ほど完璧な鍛錬装備は今までなかったが、それでも気を消費させる装備は幾つか開発している。
身体に負荷がかかるため連休中や長期休暇中にしか使わなかったが、それでも松永久秀は気を大きくする鍛錬をしてきている。
それに加えて最近の九十九髪茄子による鍛錬で強くなっていた。
気を含めた全力全開は"相手が"危険だと判断した松永久信は家長命令で全力で戦うことを禁じていた。
それを今まさに解禁したのだ。
「というわけで、家長の許可でたし、百代。いや、武神・川神百代。とある方からの依頼で試合で負けて欲しいってさ。松永の家名と、仕事を兼ねて川神百代には負けてもらうぜ」
「面白い冗談だ」
川神百代はそう言ったが、心の中で、誰の依頼か疑問に思っていた。
「それでは、エキシビジョンマッチ。
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