第十六章 悪役もこなす
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「いちっ、にいっ、さんっ、しっ。さあ行くわよ!」
「おう。せいぜい一子の邪魔にならない程度には戦う」
試合開始直前。
しかし、俺は1つ提案する。
当初の作戦では、源忠勝は葵冬馬が銃火器で牽制しつつ川神一子を俺が倒すものであったが、俺の調子を測る為に川神一子とサシで勝負してみたかったのだ。
それに、彼女を痛めつければ川神百代は相当怒るだろう。
嫌われるなら徹底に嫌われれば良い。
「ちょっと待て。1つ、良いか?」
「何だ?」
「簡単な提案だよ。俺が君を狙えば速攻で試合が決まる」
ムッとした表情になるが、事実だ。
「だから、川神一子。俺とサシで戦わないか? これなら相方を気にしなくて済む。どうだ?」
「え? どうしよう、タッちゃん?」
「……やりたいようにやればいい。ただし、そっちの野郎が妙な動きをしたら速攻でこちらも動くからな」
「大丈夫ですよ。下手に動いたら私は瞬殺ですからね」
こうして、葵冬馬と源忠勝はリング端に移動した。
「おおっと。どうやら、1対1の戦いになるようです。これは顔見知りだからできる方法だ!」
「ワン子と久秀がサシで戦うのか。姉を差し置いて先に戦うとは……。頑張れ、ワン子」
「それでは、試合開始!」
●
開始と同時に薙刀の連続斬撃が向かってきた。
「とりゃぁああ」
連続斬撃を躱して蹴りを胴部に入れる。
「っつぅ〜ッッ!」
更に、拳で攻撃を追加。
それを薙刀で川神一子が防ぐ。
「重い! それに早いわ!」
俺が繰り出すのは手刀、掌打、蹴り、足刀――。
――回避、防御、受け、殴打と川神一子が動く。
「ぐっ、ううっ」
蹴り上げ。
避けられる。
そのまま、脚を川神一子の頭部に向けて落とす。
「危なっ!」
パラパラと、川神一子の髪が落ちる。
回し蹴りを肩に当てる。
横殴りで、川神一子の身体が飛ぶ。
それに並列するように走り追いつき、さらに拳を当てる。
左拳のストレートを胴体に、右の掌打を顎に。
川神一子の身体が横移動から、縦に。そして、顎を打ち上げられたところで、がら空きになった胴体に左肘打ちをみぞおちに決める。
「うげっ、ごほっ。がほっ」
「これは、素晴らしい連撃! 松永久秀に対して川神一子は打つ手なしか〜?」
「久秀……遊んでいるのか?」
川神百代の声が聞こえた。
遊んでいるとは失礼な。
川神一子といい勝負出来る程度に力を抑えているだけだ。
それに、俺の調子をみる為の準備運動には丁度良い。
痛めつけたが、それなりに加減はしていある。
当然、川神一子は立つ。
「川神流、蛇屠り!」
試合中に交わす言葉は無い。
薙刀が俺の足元めがけて、蛇が獲物に喰らいつく様に
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