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真剣で納豆な松永兄妹
第十六章 悪役もこなす
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来た。
それを、

「おおーっと! コレは凄い! 松永久秀選手、放たれた薙刀の刀身に乗った!」

刀身から、走る。
その先にある顔にめがけてサッカーのPKでボールを蹴るように、川神一子の顎から顔を蹴り上げた。
そのまま川神一子は勢い良く場外へ飛んでいき、壁に当たる直前で、ルー師範代が彼女を抱きかかえて壁との激突を防いだ。

「よく戦ったネ」

気を失っている川神一子に声をかけていた。

「テメェ……」

源忠勝が俺を睨んできたが、コレは試合とはいえ、真剣勝負の場だ。

「加減はしてある。彼女なら30分もしない内に目を覚ますだろう」
「勝者! 智謀チーム!」

源忠勝は、俺から視線をすぐに外して川神一子の元に走りだして行った。

「勝ったのはいいのですが、もう少しスマートに勝てませんでしたか? 彼女は英雄の想い人なのです。ああも傷めつける必要があったのですか?」
「彼女には悪いが、これも川神百代に勝つためだ」

離れていても川神百代の気の乱れが分かる。
視線も殺気が入った強烈なのが俺に向けられている。
それを俺は無視して控え室に戻った。



この大会には多くの実力者がいる。
その実力者達は見ていた。松永久秀が最後、川神一子の顔を蹴り上げる時に嗤っていたのを。
それも、蔑むような目で。
勿論、川神百代も確かにソレをその瞳で捉えていた。
大切な妹の顔を。その辺の空き缶を蹴るように。
大切な妹の努力を。馬鹿にされた。
それも、手加減されて。
それが、川神百代が感じたモノであった。
しかし、観客や、その他大勢は松永久秀の魅せる技と実力に歓声と、歓喜を送っていた。
松永久秀に対して、瞬殺では無かった川神一子は気が付いた時に多くの知り合いから善戦したと褒められていた。
川神一子が一番慕っている川神百代は何も言わなかったが。
様々な想いが交錯するが、試合は進む。

2回戦第1試合、知性チーム対KKインパルス。
大胆にも、榊原小雪に直江大和君をぶつけていた。
まあ、彼女の蹴りを彼が1回躱している間に燕ちゃんが不死川心を倒したが。

2回戦第2試合、桜ブロッサム対デス・ミッショネルズ。
この試合では、葉桜清楚が終始オロオロしていた。
那須与一がかわいそうな試合だった。
デス・ミッショネルズの勝利だったが、燕ちゃんなら攻略できる相手だろう。

2回戦第3試合、源氏紅蓮隊対ファイヤーストーム。
風間翔一と椎名京は幼い頃からの知り合いのはずだが、椎名京は少しも遠慮がなかった。
結局、ファイヤーストームの特攻を冷静に対処して源氏紅蓮隊が勝利した。

2回戦第4試合は俺達の不戦勝。
準決勝へとスムーズに進んだ。

しかし、松永久秀はこの時、知らない事があった。

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