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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
妖精たちの○○な日常 vol.1
S t o r y 1 5 温もりと幸せ
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いている。警備員に変装しているティールとサーニャは軍帽を目深に被り壁際で目を光らせている。違和感なく会場内に溶け込んでいる4人の姿を見てリンは安堵する。そして、

(それにしても……)

リンは今の自分の格好を見下ろしてもう何度目かわからない深いため息をついた。

(どうしてドレスって、こんなに派手で露出が多くて動きにくい構造をしているの……?)

参加者に変装しているリンは今、ミラから借りたパーティードレスを身に着けていた。
鮮やかな赤色のチューブ・ドレス。肩出しだと露出が激しいし、右肩甲骨に刻んでいる桜色のギルドマークが見えてしまうし、何より肌寒いので白いファー素材のケープを羽織り、ドレスと同色の爪先部分が開いたパンプスを履いている。そしてドレスの両の太腿の辺りに大きくスリットが入っており、普段腰に差している2本の刀をリンはそこに忍び込ませていた。ポニーテールはくるくるとまとめてシニョンにし、いつもの銀色の鈴が付いた赤色のリボンで束ねている。更にリンは普段滅多にしない化粧もしており、長い睫毛にはマスカラ、瞼に薄茶色のアイシャドウを付け、薄くファンデーションを塗り、頬と唇を桜色のチークと口紅で着飾っていた。
このドレスと化粧の効果により、エレガントさと色っぽさを醸し出したリンを見たティールとジーハスは年相応の男児らしく頬を赤らめ、サーニャとレーラはあまりの魅力に目をキラキラと輝かせていた。

(うぅ……やっぱり、すっごく恥ずかしい……!)

リンは冷える腕を擦りながら、あまり目立たぬよう会場の隅の壁に寄りかかって小さくなっていた。
その時だった。

「きゃあ!」

聞き慣れた声の悲鳴とガシャン!とグラスが割れる音が耳に届いた。驚いて顔を上げると、ウェイトレスに変装したレーラが酔った参加者の男に腕を掴まれていた。レーラの足元にお盆と割れたグラスの破片が散らばっている。

「お嬢ちゃん…かわいい顔してんね〜。おじさんの相手してくれないかい?」
「い、いえ!あの……こ、困ります!放してください!」

レーラは必死に抵抗するが男が手を放す様子はなく、ウェイトレスに変装しているせいもあって手荒なことは出来ないでいる。

「いいだろぉ〜少しくらい。一杯でいいからさぁ〜。」
「っ……。」

酒臭い香りにレーラが顔を顰める。

「あいつ……!」

その様子に耐え切れなかったリンが意を決してその男の元へ歩み寄ろうとした時、目の前を橙色が横切った。

「ぎゃっ!……な、何すんだっ!?」

バシャッと男の頭に水がふりかかる。全身びしょ濡れになった男が怒りを露わにしながら振り向くと、背後にウェイターに変装したジーハスが立っていた。ジーハスの手にはどうやら水が入っていたらしい空のバケツが握られている。何事かと
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