勝負は無情
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ることなくモーションに入った。
((来た!!))
完璧なスタートを切った真姫と読み勝った剛は心の中でガッツポーズした。真姫はそのまま脇目も振らずに二塁を狙う。
「ヴぇ!?」
しかし、二塁キャンパス付近にいる凛の姿に驚き立ち止まってしまった。
「え!?何々!?」
走ったことで送球に入ろうとしたあんじゅは二塁ランナーが走っていなかったことに驚き目を白黒させている。その後正気を取り戻した彼女は2人のランナーがいる二塁に向かって走っていく。
「凛!!真姫!!戻れ!!」
三塁に行くのは到底無理。凛は二塁ベースに戻ったことで大丈夫だったが、完璧なスチールを狙っていた真姫は戻ることなどできるはずもなく、一、二塁間で刺されてしまった。
『音ノ木坂学院まさかのチョンボ!!サインの見落としでしょうか?西木野も星空も唖然としている!!』
真姫はなぜ凛がスタートしなかったのかわからず彼女を見る。一方の凛もなぜ彼女が走ったのかわかっていないようで首を傾げていた。
「凛、あんたサイン見てた?」
「え?・・・あ!!」
そこで判明した。凛は絵里が打ったら絶対返ろうとそちらにばかり意識が向いていたのだ。そのせいで剛からのサインを見落としてしまい、このような結果になってしまった。
(ヤバイ、これはヤバイ・・・)
考えていたプランが崩れ去った。それでも凛を責めることなどできない。彼女がいなければ、とっくに負けていることなどわかっているのだから。
(絵里、頼んだ)
ここからは何も仕掛けられない。1ボール1ストライクとなったが、絵里には一切焦りはなかった。
(こうなったのも私のせいだわ。私が打ってればあんなギャンブルをしなくて済んだ。凛だって悪者にならなかった)
ミスの大きさに顔が落ち込んでいるのが打席からでもわかる。そんな彼女を救う方法は、1つしかない。
「私が打つことしか!!」
カキーンッ
136kmのストレート。今までまるで捉えられなかったこのボールを絵里は完璧に捉えた。
「ライト!!バックホーム!!」
一、二塁間を抜けていく打球。これを見て凛は快足を飛ばして三塁を蹴る。
(絵里ちゃんが打ってくれた!!今度こそ絶対に帰るんだ!!)
好投を続ける幼馴染みのため、自分のミスを取り返そうと打ってくれた仲間のため、そして落ち込むキャプテンを笑顔にするために。
「絶対帰る!!」
ヘッドスライディングで飛び込んだ凛。しかし、その目の前で捕手のミットにボールが到達する。
(え!?速くないかニャ!?)
外野からの返球が明らかに速い。それでもここまで来たら手を押し込むしかない。捕手の間を縫うように伸ばした手。だが、その手が触れていたのはベ
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