東方
宇宙飛行犬クドリャフカ
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ルナ計画の発令により、にわかに宇宙開発が活気づいている。そして目指すは、人類(妖怪を含む)の宇宙進出だ。
そのためには、まずは宇宙で人類が活動できることを証明しなければならない。果たして、宇宙空間で人間が生命活動できるのか。
数々の実験を行っても、結論はでなかった。いや、理論上は可能との結論がでている。だが、それをぶっつけ本番でやっていいものか皆が悩んでいた。
そこでひらめいた名案が――犬である。
◇
「うー、クドリャフカぁ……」
「お、お姉さま、あまり可愛がりすぎますと情が移って大変ですよ」
「クドリャフカ、お前はかわいいなあぁ」
「お姉さまェ」
宇宙開発センターで一匹の犬と戯れる書記長の姿があった。この犬クドリャフカこそ、栄えある宇宙飛行士一号に選ばれた名誉ある犬でる。決して生贄とかいってはいけない。
「クドリャフカぁ」
事情を知っているはずのレミリアは、なぜかクドリャフカを溺愛していた。気を利かせた職員が別の犬をじっけんだ……名誉を与えようとすると、それはそれでほかの犬が可哀そうだからダメ、とレミリアは拒否した。
独裁者の本領発揮である。
そんな中でも研究は続けられ、ついにロケット打ち上げの日が来た。今日この日をもって、人類(犬)が宇宙への足跡を残すのである。
ロケットが無事に打ち上げられ、周囲が興奮冷めやらぬ中、少ししんみりした雰囲気を放つ一段があった。
「妹様、お嬢さまのお姿はやはりみつかりません」
「そう、クドリャフカを可愛がっていたからやはりショックなんでしょうね」
「レミィはあれで繊細なところがあるからね。そっとしておいてあげましょう」
パチュリーの言葉に一同がうなずくと、慌てたような足音がこちらに向かってきた。息せき切ってこちらに走ってくるのは、こいしだった。
泰然自若としているこいしのこのような姿は珍しい。
「あら、こいし。どうしたの?」
「フランお姉さま! レミリア様はどこですか!」
「ど、どうしたのこいし。貴女らしくないわよ。お姉さまなら少しお疲れで休まれているところよ」
「……ロケットの中から心の声が『2つ』したんです!」
「二つですって? クドリャフカ以外の犬が乗り込んでしまったのかしら」
「それが、その――――レミリア様の声でした」
阿鼻叫喚の地獄が出現した。
◇
「見てみてクドリャフカ! 地球よ! 地球が青いわよ!」
「わん」
ロケットの中で俺はクドリャフカと戯れていた。科学の発展に犠牲はつきものだ。宇宙開発は俺が指揮している以上、その犠牲は俺が責任を負わねばなるまい。
だからわんちゃんを宇宙飛行実験に使うことに同意したし、仕方ない
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