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真剣で納豆な松永兄妹
第十一章 始まりの鐘
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はない。
少しでも優勝に近づく為に俺達は別々に相方を見つけるという段取りになっている。
燕ちゃんは当然、川神百代の心を乱す為に直江大和君の元へ。
俺はと言うと、

「トーナメントのペアに私をですか? お誘いは有難いのですが、私が出た所で瞬殺必至ですよ?」

葵冬馬に声をかけていた。
黛由紀江では、剣聖の娘だから。他の実力者でも同じように相手のお陰で勝ち進められたという印象が残ってしまう。
だからこそ、戦闘向きでない人物で頭の切れる人物を選ぼうと考えていた。
実は京極彦一《きょうごく ひこいち》に声をかけたのだが、断られていた。
彼の言霊があれば相当楽に勝ち進められたのだが、それではある意味で彼のお陰になってしまう。

「君は戦闘に関しては何もしなくていいさ。俺がメインで戦う」
「……つまりは、家名を挙げる為に敢えて無力な相手とペアを組み松永久秀個人の実力で勝ち上がって名を挙げると?」

流石に頭が良い。
俺が見込んだ通りの男だ。

「そのとおりだ。あと、葵冬馬君は目的の為に手段を選ばないタイプだろうしね。だからこそ、組みたいと思う」

彼の賭博場での噂はいくつか聞いている。
それに、悪者としての素質があると思う。
俺も同じく悪者を演じている真っ最中だからわかった。

「そうですね。私は私の目的のためならば手段を選ばなかったでしょうね……」

手段を選ばなかった、という事は、何かしらやろうとしていたらしい。

「で? どうだい? 俺としては九鬼の贈り物は君に全て渡しても良いと思っているが」
「そうですねぇ。温泉旅行など一緒にお付き合い頂けると嬉しいです」
「それは断るが、ペアを組む事に了承したと言うことでいいのか?」
「残念。ええ、別に構いませんよ。小雪に英雄と準まで出場して私だけのけ者というのも何ですし、お誘いを受けましょう」

葵冬馬に言わせれば、俺も充分タイプだそうで、一緒に入られる時間が多ければ落とせるかもという嫌な言葉を聞いた。
松永久秀と葵冬馬の智略チームの誕生である。

「基本的に逃げに徹してろ」
「ええ、わかってますよ。私は攻撃も防御も一般レベルですから。場外へ逃げます。10カウント以内に勝負をつけてくださいね」

試合場での基本方針は決まった。
だが、試合当日に動くのは遅い。

「試合前の動きとして――」

こうして、智略チームの動きが早々と稼働し始めた。



戦う腕力がなくても
守る術がなくても
知がある
配点:(智略)


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