防人のミステイク
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ね、フーちゃん。でもちゃんと迎えに」
「だー!!」
「き―――ぶはっ!?」
フーちゃんを抱き上げようとしたら、顎にアッパーをかまされた。赤子ながら見事なクリーンヒットで、頭がちょっと揺れた。な、なんで……?
『お、おぉぉ……! こ、これは世界を狙えるパンチです……! ぐふっ……!』
私共々、精神世界のイクスまでノックダウンした。なぜか背景で勝負ありと言わんばかりに、激しくゴングの音が鳴り響いた……。
「あー、あうー」
「殴った後に撫でるとか、この歳にして飴とムチの使い方を心得ているなんて……どんだけ魔性の女なんだ、フーちゃん……」
でも、心の中の鬱屈とした気分はほんの少し晴れた気がした。精神的な喝を入れられたというか、浄化されたというか……「仮にもわしの保護者なら、いつまでも気に入らん顔しとる場合か!」と怒られた感じだ。
「……はぁ。引きずってた後悔を力業でぶん殴るとか、フーちゃんの将来が楽しみというか、怖いというか……。せめて非行には走らないでよね……」
「だー!」
そう思いつつもなぜだろう、仕事中であろうとフーちゃんが不良の集団に単身突撃していく光景が見えた気がした。できればそうならないように気を配ってあげたいが、果たしてそれまで私が傍にいるか……というより、死なないでいるだろうか。
ただ、フーちゃんを背負っていると命の重さを実感できる。このあどけない小さな命を見ていると、私が守らなければ、という気にさせてくる。それに応じて、私の生きようとする気力も若干回復する。もしもの話、私の気力がゼロになったら……本気で自殺するかもしれない。だからフーちゃんの存在はある意味、私の命綱とも言い表せた。
ベビーキャリーにフーちゃんを背負ってお婆ちゃんシスターに感謝を伝えた後、私とシオンは改めてシェルターの奥を目指した。先程シオンはこのシェルターが船だと言っていたが、それを裏付けるかのように下層へ行けるエレベーターが中央付近に設置されていた。私達が乗り込んだ後、シオンはエレベーターのボタンを特殊な順番で押していく。すると扉が閉まったエレベーターはボタンには表示されない階層、機関室へ移動していった。そこで私が見たものは、空飛ぶ円盤を彷彿とさせるエンジンだった。
「これ、ディーンドライブって名前だったりしない?」
「SF映画のUFOの動力炉じゃないよ。これはスレイブ・ジェネレーター、アウターヘブン社がオーギュスト連邦と共同開発した新型動力炉で、これのエネルギー変換効率は管理局製魔導炉のそれをはるかに凌ぐ。オーギュスト連邦内でエネルギー資源が不足するような状況は、それこそ千年単位で先の話になっているんだ」
「千年!? そ、それはまたとんでもない話だね。でもこんな代物を管理世界に持ち込
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