防人のミステイク
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れは頼もしい。だったらもう少し頑張ってくれるかい」
突然敵軍の真っ只中をレイ・アルオムで突破してきたシオンにゼストは一瞬驚くが、それよりもシオンの傍で一緒に走っていくシャロンの姿に、彼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「クッ、まさか俺が見つけてしまうとはな……。レジアスめ、恨むぞ」
「ゼスト隊長?」
「俺はいい、今は戦いに集中しろ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新造シェルター、内部。
アンデッドの大群を真っ直ぐ突っ切るのは大変だった。命からがら何とか到着できたが、あれではここの戦線が押し潰されるのも時間の問題に見えた。
「それでさっき言ってた“アレ”って何のこと? そろそろ教えてくれても良いんじゃない?」
逃げて来た市民や局員が座り込んでいる隣を歩きながら、私は先を進むシオンに尋ねる。
「このシェルター、実は船なんだよ」
「………はい?」
「正確には地面に埋まった状態で作られた次元航行艦ってこと。いざとなったらこのシェルターは地上に出て、空を飛び、次元を超える。世界を船とみなした場合、このシェルターは脱出艇となる」
「じゃあこれからやろうとしているのは、このシェルターを……?」
「いや、動かすのは機関だけさ。管理局の戦艦にディストーションシールドがあるように、このシェルターにも障壁がある。私達はそれを動かすべく、ここに来たんだ」
「障壁?」
「ニブルヘイムの次元断層を参考に強化された、ディストーションシールドの数百倍の防御力を誇る絶対的な障壁。でも必要なエネルギーが大きいから、ここのは範囲も狭いし、常時展開できる代物じゃない。衛星軌道上太陽光発電システムなどがあるマウクランのマザーベースなら供給が間に合うから、世界規模で常時展開できるけど、ミッドにそこまでの設備は無いからね。……支社長達のアイデアや開発力がぶっ飛んでるだけ、なんてツッコミは野暮だから言わないでおくれよ?」
冗談気味に苦笑するシオンだけど、私には藪をつついて蛇を出す気はないよ……。
「あー!」
「あなたは……! 良かった、あなたも無事だったのですね……」
奥へ進んでいく最中、孤児院の人達と共に避難してきていたお婆ちゃんシスターが私を見つけ、声をかけてくれた。ホッと安堵の息を吐く彼女の背中でなぜかフーちゃんが手足をバタつかせていて、ベビーキャリーから降ろすだけで一苦労していた。
「あらあら、フーカちゃんったらついさっきまですごく大人しかったのに、あなたの姿を見た途端こんなに元気になって……」
「母親を失って間もないのに、その時と同じような状況になりましたからね。やっぱり不安だったんでしょう。……遅くなってごめん
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