第二部 英雄たちの策動
二人だけの…
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たのか曹操は私のストロベリーを一口齧る。
これで、二人ともミックスベリーを食べれたことにはなる。満足かな。
……少し、眠くなってきたかも。
◆◇◆◇
彼女がどうやら、ウトウトと舟を漕ぎ出したようだ。
二人で旅から旅への生活をしていた時によく見ていた光景ではある。が、旅を始めた当初の頃は、自分の前で寝ることはおろか、近づいたらすぐに飛び起きていたが。
こうやって眠る姿を見ることができるのは、なんだかんだで親密になった証かもしれない。
「……」
ぐらりと、頭が揺れる。意識を手放しかけている文姫を咄嗟に支える。
流石に、公園の地面で横になるのはどうかと思うが。文姫は気にしないかもしれないが、さすがにそれはまずいだろう。
「仕方がない」
力の抜けた文姫の頭を、膝の上に乗せる。そうすれば彼女の髪が広がって。
手で梳いてやると、さらりとした絹糸のような手触りが広がる。手触りの良い黒髪は、俺も嫌いではない。
そのまま何分か経過した頃。不意に、文姫の寝息が止まる。
何事かと訝しんだ直後、ばっと起き上がる。その直後。
「曹操!この大事な時期に一体何を「はぁーい二人共ゆっくり出来たわね?さ、帰るわよ」ジャンヌ!お前の差し金か!」
相当に怒っているらしいゲオルクと、にやにやと笑っているジャンヌが転移してくる。
――どうやら、調査兼息抜きはここまでの様だ。
「ああ、悪い。どうしても、直接見てみたかったからな。文姫を護衛にしておけば、危険もないと判断したんだが」
そう言ってやるとゲオルクは不満そうだが黙りこむ。
「さて、では帰ろうか」
「ん」
すっかり起きてしまった文姫に手を伸ばせば、素直にその手が取られる。
久しぶりの、二人だけの時間だったが。……こういうのも、たまには悪くない。
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