第二部 英雄たちの策動
お仕事
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、何となく―――寂しくなって、ここにきてしまった。
きっとそれは、昔の自分に似た彼と接触したから…かな。
そう考えながら曹操にもたれかかる。何度も触れてきた温かさが安心を与えてくれる。
曹操の傍………それが今の私にとって、一番落ち着ける場所みたい…
「………くー…」
「………この状況で、俺は一晩過ごさなきゃいけないのか」
ふっと一瞬浮遊感を感じた気はしたが、私の意識は緩やかに落ちて行った……
目が覚めると、天井が見えた。頭の下には柔らかい枕の感触…え、なんで?ソファーで意識を失ったはずなのに……
がばっと半身を起こすと、外はどうやらもう明るくなっているようだ。そしていつの間にかベッドに寝かされていたらしい。
そして視線を巡らせば、机で何やら書き物をしている曹操。……もしかして
「……あの…曹操…」
「ん、起きたか。どうした?」
「…もしかして、ずっと起きてた?」
「そうだな。君が気にすることはないが」
淡々と答える彼だが、私としてはそれどころではない。
私が邪魔したせいで寝れなかったのだろうか。
「駄目、曹操も寝ないと」
「俺はいい。仕事もあったし、君のほうが疲れていそうだったからな」
「曹操も休まないと、倒れる」
言ってやるとぐっと詰まる曹操。やっぱり、無理してるんだ。
詰まったのをいいことに曹操の手を掴む。こうなれば、実力行使のほうが早い。曹操は頑固だから。
あまり抵抗してこないのでそのままベッドに押し込む。
「……四織、なにを」
「曹操も寝る。私は部屋に戻るから、ゆっくり寝てね」
何か言いたげな曹操にくぎを刺して部屋を出る。
さて、とりあえず皆にどう説明しようかな……
パタンと扉が閉まる。
意外なほどの力強さと強引さで押しこめられたベッドには、まだ彼女の温もりが残っていた。
―――そんな普通なら気にもしない事実が、相手が四織だとなぜか心がざわつく。
俺にとって彼女は何なのか………たまにそう考えることもあるが、答えはすぐに出る。
最初の同士にして、研究対象。それだけのはずだ。
……だが、時々こうやって起こる心のざわつきはそれだけでは説明しきれない。
とりあえず眠くもないのでベッドから起き上がるが……このまま寝ずに外に出た場合、彼女は間違いなく不機嫌になるだろう。
「……まあ、根を詰めすぎるよりはましか」
ベッドからは起き上がり、ソファーに身を投げる。
書類も机の上に放置し、目を閉じる。
しばらく後、部屋の中には規則的な呼吸が響きだしたのだった。
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