第二部 英雄たちの策動
お仕事
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かは、僕のせいで死ぬんだ……その前にどうせ、僕を殺すんでしょ……」
「別にあなたを殺そうなんて思ってないけど」
一歩ずつ慎重に近寄る。こういうときの対処法なんてわからない、知らない。
今までそんなことをすることなんてなかったから。
「そもそも……人は常に人に殺される可能性、人を殺す可能性を持って生活しているんだから。そう言う面では、あなたはほかの人とそこまで変わるわけでもないよ」
人は常に人を殺し、また人に殺される可能性と共に生活している。
私が口にしているのは暴論であり、同時に極論だ。
だが同時に、真実でもある。私はそれを、身をもって知っている。
「だから、もう一度言うよ。私は―――あなたを拒絶しない」
その言葉と同時に、最後の一歩を踏み出す。不器用に少年の頭を抱え込む。
「……今は、ゆっくり休むといいよ」
トン、と軽く首筋を押さえる。張りつめていた神経が途切れたようで、崩れ落ちる体をよいせと抱え上げる。同時に囲んでいたモンスターが崩れ落ちていく。
とりあえず屋敷の外に連れ出したところで、おもむろに携帯電話を取り出す。
「―――曹操。終わったから、回収用に誰か飛ばして」
『わかった、すぐに向かわせよう』
「今回は私も一緒に帰るから」
『ああ、分かった』
電話を切って一息つく。気配を探ってみたところ、モンスターも人もいなくなったようだ。
ならここで待たせてもらおう。そう考え、座り込む。
迎えが来るまで、少しでも休もう―――
その夜
「……それで、なぜ俺の部屋に来る」
「予想以上に迎えが速くて、結局休めなかったから」
「…理由になってないが」
私の目の前では今、呆れ顔の曹操が腰に手を当ててため息をついていた。なんだかその姿、妙に様になってる気がする…
そんな埒もないことを考えながら質問の答えを考える。
「…甘えたかったから?」
「何だそれは………」
呆れ返る曹操は、何か資料を手に取ると何やらソファーに座って作業を始めた。
その隣に失礼して、ぽすっともたれ掛らせてもらう。あ、仕事の書類みたい。こんな夜に、なんで自室でやってるんだろう…
一瞬固まった曹操が訝しげにこちらを見てくる。
「……どうした、いつもの君らしくない」
「ん……少し、眠いだけ」
実際、レオナルドに接触してから一睡もしていない。非常に眠い。
だって仕方がないじゃない、あんなの放っておいたら絶対に危なかったし……レオナルドを仲間に引き入れることも、できなかったかもしれない。夕方だったから町のほうにも被害が出てたかもしれない。
……まあ、それだけじゃないんだけど。
自分の部屋で寝てもいいんだけど
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