第一部 出会い
転機
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間。そこに…
「―――我にもそれ、分ける」
全く突然に、知らない気配が降り立った。
黒いワンピースを纏った小柄な体、腰まである黒髪の端正な顔立ちの少女―――だというのに、私が感じたのは、息苦しくなるほどの脅威。
脳内で警告のサイレンが狂ったように鳴り響く気がする。
私でもわかる、あれはやばいものだ……敵対したら一瞬で潰される、そんな類のものだ。
今まで相対した何者よりも、強く、強大な―――
「……無限の龍神オーフィス…まさか、世界最強の存在がこんなところに現れるとはな…」
曹操も流石に驚愕したように身構えている。世界最強―――これが、その存在。
正直、全力を尽くしたところで傷一つつけることはできそうにない。それくらいの差がある……
私達の警戒の視線に全く頓着することなく、オーフィスと呼ばれた少女は鍋の中を見つめている。
と、小さな手を突っ込んで肉の塊を取り…咀嚼する。
満足したかのように唇をなめ……来た時と同じように唐突に、姿を消した。
龍神が去った後、私は片づけをして(曹操に手伝ってもらうことにはなったが)、曹操に先ほどのオーフィスのことについて聞いてみることにした。
「オーフィス。全世界の中でもトップの無限と虚無を司る無限の龍神だ。俺の聖槍でも毛ほどの傷も与えられない、“禍の団”と言う集団のトップだ」
「禍の団?」
「ああ、三大勢力の和平や協調を快く思わない集団のことだ。トップはオーフィスとなっているが、実権は様々な派閥のトップが握っている形だ。俺が最近、情報を集めていた組織でもある……さて、四織」
唐突に曹操がこちらに話を振ってくる。珍しいなと思いながら目を向ければ、何やら思案している様子の曹操の姿があって。
「……俺は、ある英雄の血をひいて生まれてきた。聖槍などと言うものにまで選ばれてしまった」
「……それで?」
真っ直ぐに瞳を見据えて問いかければ、曹操も意を決したように語る。その姿は、いつもの私が知る彼ではなく……
「祖先の血や聖槍、そう言ったモノを考えて、俺は英雄になるべきだと思い生きて来た。だから、これは挑戦の一つだと思っている。禍の団、異形の敵対者として俺は英雄になる為の挑戦を、人間の頂へ至る為の挑戦がしたいんだ」
―――熱に浮かされているみたいに、見えた。
……ねえ、曹操。気付いてる?貴方は英雄になる「べき」だと思って生きてきたって言ったけど。
でも……『英雄』って、自分で名乗るもの?
『英雄』を選ぶのは、力ある誰かじゃない……守られる側の、無力で、無名の人々だよ。
―――私の様な。
埒もない思考を心の中にしまって、気持ちを切
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