第一部 出会い
始まりの日
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
四織を連れ出した曹操は、とりあえず宿に戻ることにした。
暗い夜道を、背中に刀を背負いボロボロのワンピースを着た四織とともに歩く。
幸いにも途中で誰にも出会うことなく、部屋まで戻ることができた。
「とりあえず、君がベッドで休むといい。俺のことは気にしなくていい」
指示するとコクリと一つ頷いて恐る恐るベッドに横になる四織。
少しすると、小さな寝息が聞こえ始めた。その姿にほっとする曹操。
彼自身は、扉の近くに椅子を持ってきて座り外の気配を探る。
鈴科家のものはほとんど打ち倒したはずだが、残党がいたらここを探し当てている可能性もある。
そう考えて、今日ぐらいは眠らずに警戒を続けることにした曹操だった。
窓から太陽の光が差し込んでくる。
椅子に座ったままうつらうつらとしていた曹操はその光で目を覚ました。
ベッドを見ると、小さな寝息を立てながらまだ四織は眠っていた。
その寝顔はあどけなく、年相応の物で。あの路地で見たような、凍てついた殺気はかけらも感じられない。
ベッドのそばへと歩み寄ると、ピクッと体が震え瞼が開かれる。
すばやく身を起こした少女。寝起きとは思えない頸烈な光をたたえた闇色の瞳が、まっすぐにこちらを見つめてくる。
「起きていたのか」
「……今、起きた。気配がして」
さらっと言っているが、気配だけで一瞬で意識を覚醒させるなど普通ではない。
そこまで気配に敏感にならなければいけない生活をおくってきたのだろう。
そんなことを考えながら、ベッドから降りる四織を見る。
「………それで。私は何を、すればいいの」
じっと見つめてくるその瞳は、虚ろで。自分の意志というものをほとんど感じさせない。
目の前の少女は間違いなく人間というよりは機械に、操り人形に近いだろう。
その糸を今まで握っていたのがあの家、そして今日からは曹操がその役割をすることになる。
と言っても、どうなるかはさっぱりわからないが。
「昨夜の残党がいれば君が逃げ出したことはすぐに伝わるだろうから痕跡を消そう」
かなりの人数を倒したはずだが、それでもあの家にいたのがすべてとは限らない。
残っているとすれば、この近辺をしらみつぶしに捜しているはずだ。ぐずぐずして何の対策も講じなければ捕捉されるのは時間の問題だろう。
「とりあえずはシャワーでも浴びてくるといい」
素直に頷いた四織を送り出し、曹操自身は新しい服(女物)を用意する。
追跡を避けるために。一番手っ取り早いのは装いを変えること。いかんせん、逃げ出した時と同じ格好では追跡部隊がいた場合、目に留まる確率は高い。
ならば服装と、あとは髪型くらいを変えてしまえば危険性は減る。
しばらくすると、長い黒髪をしっとりと濡らした四織が姿を現す。
どう
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ