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真剣で納豆な松永兄妹
第七章 水上体育祭午後の部
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晴らしいものだ。
しかし、あくまで壁を超えるものではない。
続いて遠投した武蔵坊弁慶のボールは遥か彼方に消えた。
あれが、壁の超えた実力だろう。しかも、殆ど実力を出していない。
もし、試合をするような事があるなら下準備が相当必要だと思う。
けしからん身体と実力を持っている武蔵坊弁慶。
遠投の時の胸の揺れは全くもってけしからんものだ。

「久秀、お前案外エロスだな」
「百代、男は誰でもエロスだ」

――水上体育祭、女子:水上歌合戦。
燕ちゃんの歌う納豆小町はやはり可愛かった。
聞き耳を立てれば、異口同音に納豆の話が聞こえたので、松永納豆が広まっていると実感する。
しかし、水上歌合戦の結果は、燕ちゃんが準優勝だった。
優勝は2-Fの椎名京であった。
風間ファミリーは、意外にも目立つ人材が多い。

――水上体育祭ファイナルステージ:クラス対抗怪物退治。
クラスごとに1匹の怪物の着ぐるみを討伐する競技だ。
着ぐるみの中身は川神院の修行僧が入っているのだが、俺達のクラスは川神鉄心が着ぐるみの中に入っていた。

「へぇー。直江大和君ね。なかなかの指示だなーこちらは中身が強くてまだ倒せないってのに」
「そりゃ、私の弟で、うちのクラスはじじいが中に入ってるからな」
「フェアに戦力を振り分けているにすぎんわい。ほれ、余所見する暇があるんか?」
「隙あり。松永式納豆足絡み」
「兄ちゃんに続いて脇固め」
「川神流――無双正拳突き!」
「イタタタ、老人にはもっと優しくせんか……。降参、降参じゃ」

この爺さん、燕ちゃんの脇固めの感触楽しんでないか?

2-Sでは、指揮権が源義経に移っていた。
彼女の指揮により、あっという間に決着をつけていた。
初めから団結して団体行動していれば、もっと早くに決着が付いていただろうに。



「夕日が綺麗だ……」
「おい、久秀。黄昏てないで帰るぞ」
「百代には情景を楽しむという事がないのか? 自然の美しさを楽しむのも乙のなものだ」
「年寄りみたいな事言うな……」

夕日に赤く染められる川神百代。
俺の横に並んで同じ光景を眺め始めた。

「綺麗だ……。夕日も、百代も」
「なんだ? 今更私が美少女だとわかったか?」

いい雰囲気でくさい台詞に動じないか。
この手は効果が薄いようだ。

「初めから百代は美少女さ。美しくて強い。魅力的女の子だと思うぜ」

ただし、強過ぎるが。

「……そうか」

赤い夕日に染まる空。
川神百代の顔も赤く染まっていた。
それが、夕日によるものであると俺は思う。



寄りし身体と心。
配点:(赤)


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