第一部 出会い
月下夢想花
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しにま、魔力を消すなど…!」
自身の魔力攻撃を何らかの手段で無力化された悪魔が悲鳴を上げる。
その懐に、蒼いオーラを追従させながら少女が滑り込む。
「―――終わり」
無情な宣告とともに、オーラを纏った刀を横に一閃させる。
深々と一文字に斬り付けられた悪魔は、絶叫を上げる暇もなく真っ二つとなる。
悪魔を切り倒した少女は、一つ息をすると刀を鞘に収める。
そうして少女が立ち去るまで、曹操は静かに物陰からそれを見ていた。
少女が戻ってこないことを確認し、倒されたはぐれ悪魔の体を調べる。
刀で斬られたであろう傷口は全て断面が汚染されたかのようにドス黒く染まっており、明らかに普通の傷跡とは違うとわかる。
「―――――興味深いな」
口元が歪むのを抑えきれない。まさか、はぐれ悪魔を追ってこんな興味をひかれるようなものを発見するとは。
「まずは、情報を集めるとしよう」
先ほど見た少女の顔を脳裏に思い浮かべる。
整った顔立ち、長い黒髪、手にした日本刀。そして……ぞっとするような鋭さと暗さを宿した闇色の瞳。
とりあえずは情報を集めるために、曹操もその場を離れることにした。
そして3日後。
「……ふむ」
曹操の前にはいくつかの書類の束が置いてあった。
「意外に早く情報が集まったな」
と言っても、それは曹操だからこそではあるだろうが。
まずは件の少女の去った方角を捜索し、周辺の調査を行い少女の姿を探して、尾行。
周辺の調査と情報を照合して、入っていった屋敷の所有者とその地位について。徹底的に調べる。
そうすると、意外に様々なものが見えてきた。
「鈴科……このあたりに古くから根付く『異能者』の家系か…基本的に技術を秘匿する傾向がある家の様だな」
過去には神器持ちもいて、今も何人かいるらしい。そんな秘匿された情報を掴んでいる曹操も怖いが。
今現在、屋敷の見取り図と屋敷の住人のリストをめくりながら目当ての人物を探す。
「だが、彼女の写真はないな……」
そもそも、そんな閉鎖環境にも等しい家のメンバーの顔写真が手に入ること自体がおかしいのだが、きっとツッコんではいけない。
だが、彼女の分が見つからないということは……
「…少なくとも、異端の一族の中でもさらに隠さなければならないほどの“力”というわけだ」
さて、ここまでわかってしまえば次にとる行動は簡単だ。
今夜、それを実行に移すことを決めた曹操は一人立ち上がって姿を消した。
その少女は全ての望みを奪われた。
親を殺され、望まれたわけでもない家に入り。そして迫害される。
生きることさえ、もしかしたら望んでいなかったかもしれない。
異端の家の中に会ったなお、“異質”と評される人外の力。それ
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