第33話 日英欧州談話「踊るロンドン会議」幕開 ターン31
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――――パリ星域ルアーブル宇宙港、騎士艦トラファルガー艦橋――――
「初めまして、アドミラル・フシミ。
エイリス帝国、親衛騎士隊長ジョン・ロレンスです。
東洋のビスマルクにお会いできて光栄です」
女王の守護騎士と言われるロレンス提督が、手袋を外し手を差し出してくる。
エイリス人に多いMIN-NARAKEN顔のイケメンだ。
「ありがとうございます、ロレンス卿。
大日本日本帝国、欧州星海域特命全権大使の伏見空です。
外交官として参っておりますので提督は不要でお願います」
こちらもしっかりと相手の目を見つめながら右手で握手を返す。
この場では武官ではなく、あくまで外交官であることアピールしながら……。
「ふ、ネルソンから聞いていましたが、噂通り手強い相手の様だ」
「いえいえ。こちらこそネルソン提督が構えておられる
インドカレーより先に進むのは厳しいと悩まされておりましたから」
エイリス帝国とこれ以上争うつもりはないと含ませる。
「ふむ。そこで停戦交渉と言うわけですか」
「それだけではありません。
我々、人類は悲惨な前世界大戦から多くを学んだはずです」
「この二度目の世界大戦を終結させたいと?」
「はい。国民に国家の命運を託された者は、
戦いに勝利する方法を考える前に、
戦いを避ける方法を考えるべきだと私は常々思っています。
そのことは名誉あるバランサーであるエイリスが一番よくご存知かと?」
「なるほど。諫言、痛み入ります。
女王陛下の名に誓って、必ずや皆様を惑星ロンドンまで無事にお連れすると約束します。
お疲れでしょうし、未だ両国は交戦状態であり過度な歓待はできませんが――」
「いえ、その方が助かります。パリではルイ81世にお呼ばれして、
毎日が晩餐会のヘビーローテーションでしたから……」
「オフランスは自力で国土を取り戻した訳ではないので、
晩餐をキッカケに国威を取り戻したいのでしょう。
それにオフランスの社交界にはオトマロのファンも多いですからね」
「いやいや。噂では聞いてましたが猫平宰相の影響力が欧州で此処まで強いとは……
猫平内務長官からもっとお土産を預かってくるべきでしたね」
歓待が質素なことをあえて伝える、同盟国オフランスを下げる発言。
戦勝で浮かれるオフランスとエイリスは違うぞってことか……
流石に沈まぬ帝国と呼ばれ一度は世界の半分を治めただけはある。
交渉のテーブルに着くという意志があるだけ原作ゲームよりはマシだろう。
「今は猫平宰相もお忙しのではないのですか?
それに伏見子爵も本国のことが心配だとは存じますが――」
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