第二章 予定調和の筋書き
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出してないのに良く分かったね。でも――」
直江大和のクラスメイトが色々と話す中、担任である小島梅子が感嘆を漏らす。
「3-Fの転入生か。素晴らし技だな……」
「先生、川神さんの相手、知ってるんですか?」
「彼は、松永久秀。双子の妹に松永燕がいる。あの、松永だ」
「松永……聞いた事あるわ。転校してきたのね!」
●
拳を躱して迎撃の上段廻し蹴りを放つ。
カウンターとして上出来……!
それを川神百代は受け止める。
ガードをしたが地面を滑る。
川神百代の足元には両足の平行線が引かれていた。
●
「うわ! あの川神百代相手によくあそこまで戦えるな」
「地面をズザザーって漫画だけじゃないんだな」
「空手、テコンドー、カポエイラ、日拳に、アレは柔道じゃな。それに見たことのない拳法か、豊富な技が多いのう。素手でようやりおる。柔道のみでなら此方《こなた》の方が上なのじゃ」
2-Sの面々はそれぞれに感想を口にした。
「重そうな一撃。義経は見ないの?」
「義経達のために歓迎会を……なんとしても与一を連れて行かなくては――」
一部の人物は観戦どころではなかったようだ。
しかし、
「見よ。どのクラスも窓にへばりついて観戦しているな」
「川神百代とあれだけ戦えてたら魅入るわな」
「松永久秀君ですか。私のタイプですね、男ですけど充分魅力的です」
●
「――次はもっと力を込めてこい。私が受け止めてやるから!」
「ふー。いや、今日はここらでやめよう」
俺は力を抜き始めた。コレ以上戦わないと、体で示す。
「なんでやめる? 久秀と戦うのは面白いからもっとやろう」
「楽しいのは確かに。でもほら、HRも終わる」
HRの終了を告げる鐘が鳴り響いた。
「なんだってー。そんなに時間が経過してたのかー。残念だなー。もっとやりたいなー」
「両者良く戦ったネ。手に汗握ったヨ」
ルーは自分の未熟を少しばかり感じた。
続けていれば川神百代の勝ち、と前半はそう思っていたのだが、後半で松永久秀が徐々に川神百代の動きを捉えていたのだ。
戦闘中に相手を学び、強くなっていくように思え、ルーは戦慄した。
「楽しかったぞ。技もそうだが、もっと力を出せ」
「結構必死だったつーの。よければ、今度は燕ちゃんに稽古つけてやってよ。俺より技の種類多いよ」
「それは楽しみだ。これからも時々稽古をつけよう。もちろん正式な真剣勝負もしてみたいが」
「許可が出たらね」
「楽しみにしているぞ。久秀」
教室で行ったよりもガッチリと握手を交わした。
それとともに、各教室から声援が飛んできた。
「いいぞー。松永久秀! よく戦い抜いたな!」
「俺達は、川神学園は君達を歓迎するぜー!」
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