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ドリトル先生と春の花達
第十一幕その六

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「あの子は桜とね」
「うん、虎だね」
「虎がどうとか言ってるね」
「猛虎とか優勝とか」
「もう無茶苦茶だよ」
「そういえばペナントはじまったし」 
 プロ野球のそれがです。
「そしてね」
「昨日阪神負けたね、確か」
「カープにね」
「それで、みたいだね」
「あんなに荒れてるんだね」
「今年もってなって」
「いや毎年この季節はね」
 春になるとです。
「ああして賑やかな子が出るけれど」
「そうそう、阪神がどうとかね」
「イギリスじゃサッカーだけれどね」
「日本じゃおおむね野球でね」
「特に関西はなんだよね」
 まさになのです。
「阪神なんだよ」
「そうそう、先生も好きだしね阪神」
「来日まで野球に興味なかったのに」
「今じゃ立派な阪神ファンね」
「そうなったね」
「うん、一度テレビで観てね」
 来日してすぐにです。
「阪神の試合を、それでだったね」
「阪神好きになったね」
「私達もだけれど」
「観ていて華があって」
「勝っても負けても」
「それでも」
 何故か阪神というチームはそうだとです、皆も言います。実は皆も阪神タイガースが大好きなのです。
「華があって絵になって」
「凄く面白くて」
「いいんだよね」
「負けても絵になるなんてないよ」
「そんなチーム阪神だけだよ」
「そう、そこに魅入られてね」
 先生もというのです。
「僕も応援しているけれど」
「あの白い学生服の子はね」
「何か違うよ」
「負けたからってこともあるみたいだけれど」
「優勝とか言いながら書いてるじゃない」
「それも鬼気迫る顔で」
「隣にいる女の子も」
 男の子の横には小学四年生位の女の子がいます、頭には昨日阪神に勝ったカープの帽子がなって上着も赤い色です。
「何か優勝優勝言ってるし」
「あの娘はカープで」
「時々むっとしたお顔で言い合っていて」
「兄妹かな」
「そうじゃないの?」
「うん、兄妹みたいだね」
 実際にとです、先生も思いました。
「あの子達は」
「そうなんだね、やっぱり」
「阪神がどうとかで」
「何かいつも言ってるけれど」
「あの子達何なのかな」
「和歌を詠ってても」
「まず頭に野球があるみたいだね」
「あの子達はあれだね」 
 また言った先生でした、桜に野球を入れて鬼気迫るお顔で声にも出して書いている二人を観ながら。
「虎キチと鯉女なんだよ」
「あっ、話題のね」
「日本の野球ファンの間でも最も強烈な二つの人種だね」
「それぞれ阪神と広島の為に生きている」
「そうした人達なんだ」
「だから和歌を詠っていても」
 このことは先生と同じですが。
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