第30話 ドクツ第三帝国“伝説の"解散コンサート Ev12
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――――ドクツ第三帝国ベルリン星域、ハンブルク宇宙港――――
「ああ、総統……よくご無事で……嬉しいです」
伏見とデーニッツを乗せた潜水艦フォルケナーゼは幾度かの危機を乗り越え、
ついに大ローマ星域を抜けて、星域ベルリンへと無事に辿り着いた。
総統代理のゲッベルスが亡命の身支度を整えて
レーティア・アドルフ総統をハンブルク宇宙港まで連れてきている。
「うん……そうだな……私も、嬉しいよ」
うなずくアドルフの瞳からは自信の光も消え失せ、
口調もあきからに重く沈んでいる。気のせいかもしれなが若干レイプ目だ。
「通信では何度かお話しましたが……改めて初めまして。
大日本帝国海軍、軍令部総長の伏見空です。
時期は悪いですが、以前からお誘いされていたので参りました」
「あ、ああ。ゲッベルスから話は聞いてる。ありがとう」
「いえ、同盟国として当然のことです。
それにドクツは最後の学生時代を過ごした
第二の故郷だと思ってますから出来る限りのことはしますよ」
「そうか……すまない」
「レーティア、後は私に任せて客船室で休みなさい。
ケッテンクラート少佐、総統閣下を案内してあげて」
赤髪の女性軍人に連れられてアドルフが艦橋から去ると、
ゲッベルスがデーニッツを優しく抱きしめながら話しかける。
「私は伏見と一緒にベルリンに残るわ」
「……はい。聞いております」
「レーティアには残ることは伝えてないの。ごめんなさい。
後で怒るかもしれないけどデーニッツ提督が宥めて頂戴。
連絡役としてケッテンクラート少佐を側に付けるけど、彼女は生真面目だけど意外とドジっ子なの。
レーティアのこと、よろしく頼むわよ」
「ゲッベルス宣伝相……いえ、総統代行。
最後まで必ず総統をお守りすると約束します」
「ダンケ、お世話の仕方については――」
ドンっと広辞苑並みの分厚さの雑誌サイズのカラー冊子が手渡される。
「この『レーティア・アドルフ非公式パーフェクトガイドブック』に
余すことなく記されているから、全て頭に入れておきなさい。
レーティアをプロデュースする上で最低限度のことがまとめられているわ」
「は、はい。頑張ります」
「ふふ、しっかりと日本では堪能できなかったレーティア分を補給しなさい」
「あ、ありがとうございます!」
「あら? デーニッツ提督の服から男の娘っぽいの香りが少しするわね。どうしてかしら?」
「そ、そっ、それは、お、恩返しでー―」
「あのゲッベルス宣伝相、Uボートは急いで脱出の準備をした方が?」
見かねた伏見が慌てふためているデーニッツに助け舟を出す。
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