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SAO−−鼠と鴉と撫子と
11,砕けぬもの――汝の名は
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ているデータで作り上げた紙媒体を覗いた。
写っているのは、プレイヤーの横顔。

耳まで完全に覆った黒髪。
日本人にしてはやや地黒な肌。
詳細に書き込まれた決闘の内容

疾走中で髪が顔の半分以上を隠れているが、俺自身であることは疑いの余地もなかった――





「――クロちゃん。死んでるのか?」

天から降ってくる声に俺は思わず、俺の意識は覚醒した。
休憩のつもりが疲れで長い間、眠ってしまったらしい。現実の時間に合わせて暗くなるアインクラッドの天井は水色からオレンジ色に染まっていた。
視線をずらせば、そこには呆れ顔でアルゴが立っている。

一瞬、ベストアングルかと思ったが、そう言えばこいつ革のズボンの装備じゃねぇか、と思い出す。
悟られるとネタにされそうなので、俺はそそくさと立ち上がる事にした。

「こんな所で寝るなんて相変わらずPKを気にしなさすぎだナ。あ、これ差し入れダ」
「サンキュー。ま、気ィつけた所で、ココに他のプレイヤーが来るなんて思えないけどな」

違いないと頷くアルゴの横で俺は差し入れで持ってきて貰ったなぞの肉まん?に食らいつく。
中身はどちらかと言えばクリームパンだったみたいだが、ココしばらく飯すら食べていない身としては文句も言っていられない。

俺が指名手配されたから、アルゴから他のプレイヤーから身を隠せる場所の情報を買い、潜伏している。
険しい道をくぐり抜けたこの隠れ家は、エクストラスキル「体術」の習得用マップ。

手持ち無沙汰でどうせここでダラダラしているくらいなら、強力なスキルと名高い「体術」を修得することにしたわけだ。
なんでも2層の攻略では体術使いがMVPやらLAを独占したらしいから有用なスキルなのだろう。

こんなに大変だとは思わなかったけど。

「しかし、2日半叩いてるのに割れないってどうなってんだよ。実は破壊不能オブジェクトなんじゃねぇの?」
「オイラは止めたのに、修行なんてやるからだゾ。その顔が元に戻るまで、最低でも3日はかかるからナ」
「だって……軽業は育ってないから取り直しで問題ないし、手数は俺の死活問題だし、とにかく必要なんだよ」

それだけカ?と笑ってから、アルゴは自分の方の肉まんをパクパクと食べ始める。
心の中を透かし見られたようで、俺の方は思わず、肉まんを食べる手を止めた。

今言ったことは全て真実だ。3つしかないスキルスロットの埋め方も、戦闘スタイルも嘘はない。
ただ、それだけか?と聞かれればそれにはノーと言わざるおえないだろう。

ネットゲーマ―である俺が思ったのは、そんなシステマチックな現実ではない。
ただ体術の「希少性」に惚れたのだ。

他の人の知り得ない秘境での特訓と、それにより得られる使い手の少ないスキ
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