第27話 レーティア・アドルフの涙 Ev10
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「はい、お茶を入れたわよ。
カンツラー猫平がお土産にくれた日本茶よ。
心が落ち着くわ」
「……ありがとう」
「考えはまとまった?」
「……亡命の話をしたときに言った秘策は覚えてるか?」
「ええ、覚えてるわ。まさか完成したの?」
「パリ陥落の直前に最後のパズルが埋まった。
理論上は完成だ。兵器というには試作品だけどな」
「じゃ、じゃあ……逆転できるのね」
「いや破棄しようかどうか悩んでる」
「えっ? どうしてなの!?」
「最終決戦逆転兵器“星域破壊爆弾”は、
恒星系の中心部で使えば、
名前の通り星域そのものを完全に消滅させるほどの威力だ」
「そんな……」
「敵艦も惑星も兵士も一般市民もすべて消し去る。
戦時国際法で禁止されているCBR兵器どころの騒ぎじゃないな。
人類史上初の宇宙を壊す兵器だ」
「…………」
「……対抗手段はない。
試作品は大型で運搬が難しく制御も安定してない。
それでも一発、二発生産し、特攻戦艦に載せて戦場で使用すれば、
ジャイアンにいるソビエト軍も、オフランスにいるエイリス軍も全滅だろう。
圧倒的優位に立つことができる。交戦中の味方にも被害がでるだろうけど」
「そんなこと……」
「わかってる……きっと使っちゃいけない……」
「……レーティア」
「……でも、これを使わないと勝てない」
「だめよ、レーティア。
例え勝てたとしても貴女が無差別殺人者になっては意味がないわ。
そんなこと誰も望んではいないもの。
マインシュタイン元帥もロンメル元帥も貴方を守りたいって思って戦ったのよ」
「……戦争に勝ちたかった。
横暴でふんぞりかえったエイリスの腐敗貴族。
裏に隠れて金をバラまいて戦争で儲けるガメリカの財閥。
先の大戦で負けた国はずっと奴らの食い物にされるだけだった。
連中をやっつけたかった。勝って世界を治めたかった」
「わかってる。あなたは、ずっと頑張ってたもの」
「けどダメだ。あの兵器を使ったら
戦時国際法を無視して焦土作戦を実行したソビエトと同じだ。
私が嫌ってた奴らを同じになってしまう」
「いいの、もういいよの、無理しないで……」
「でも、もうダメなんだ……ごめん」
「謝らないでよ。レーティア、私だって共犯者よ」
「ゲッベルス……ごめん」
「もう謝らないで、私は平気よ。
最後まで一緒にいるからね」
「うんっ……うん……うん」
「きっと神様は、アナタがとても可愛らしいから
嫉妬して虐めてるのよ。きっと童貞ね」
「ぐすっ、ぐすんっ……」
「ほら、泣かないでレーティア。
お茶も冷めち
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