第27話 レーティア・アドルフの涙 Ev10
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――――デーニッツの部屋――――
暗い気持ちを落ち着かせるため
ユニットバスでシャワーを浴びていた
デーニッツは着替えながらベッドの上に登る。
「そろそろ定期通信の時間……」
ピッ……ピッピッ……ピッ……
(今日も……総統は……でも伏見が……
相手が総統代理でも……亡命のことは相談しないと)
シュンッ……
通信のウインドウが開く。
映ったのは総統代理のゲッベルス宣伝相ではなく
第三帝国総統のレーティア・アドルフだった。
「ひさしぶりだな、デーニッツ。
元気そうでなによりだ」
「あっ……ああああっ……総統っ……アドルフ総統!
あの、あのっ……お身体はもう宜しいですか?」
「ああ、もう大丈夫だ。復帰早々で忙しくてな。
連絡するのが遅くなった。すまない。
……泣いてるのかデーニッツ?」
「いえ、いいんです……ちがうんです。
わたしは……うっ……
嬉しいんです……総統がご無事で……よかった」
今まで抱えてた不安や心配事と一緒に、
相談しようと考えてたことも吹き飛び、
うっすらと涙が滲んでくる。
「デーニッツ……ありがとう。
それからやっぱりゴメン。心配をかけたな。
これからバリバリ働いて盛り返すからな!」
「はい……わたしも頑張ります」
「とりあえず、日本の話を聞かせてくれないか?
しばらく聞いてなかったから楽しみにしてたんだ!」
「は、はいっ! お任せて下さい。えっとですね――」
軍務に関する定期通信はゲッベルスとも行っていたが、
プライベートの話は殆どしていなかった。
ゲッベルスが嫌いというわけではない。
ただ誰よりも先に自分の口でアドルフに伝えたかったからだ。
「それですね……海軍長官の東郷毅は、女たらしで
太平洋艦隊には何十人も彼と関係を持った女性がいるそうです。
私も何度かデートに誘われました。あ、もちろん断ってます。
軍令部はアクマがいるからと最初は避けてましたが、
潜水艦隊が印度洋艦隊の所属になって助かりました」
「それで女性から刺されないっていうのは、
酷いシュピーラーだな。トーゴ―という男は」
「はい。伏見も海軍大学時代に比べて
随分と女性と接するようになったみたいです。
婚約者がいるのに秘書官と関係があるとか噂もありますが、
……アレよりはマシですね。アクマでも」
「おいおい。伏見とは誤解も解けて仲直りしたんだろ」
「仲直りしても弁舌の悪魔はアクマのママです。
そういえば、五一五事件というのがあって――」
「あはははっ……痛快だな! 久々に大笑いしたぞ。
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