第66話『安心』
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数分運ばれて来てしまう。もしかしてだが、この世界は飲酒に年齢制限が無いのだろうか。店主は何の躊躇いも無しに持って来たし。
「じゃあ明日から頑張ってくぞ。乾杯っ!」
「「か、乾杯…」」
グラス一杯に注がれた酒を見て、晴登は硬直する。いくら法が無いとしても、晴登の良心が飲むのを咎めるのだ。いつものように勢いではいけない。きっと皆も同じ考えだろう──
「ごくっ」
「って、結月!?」
そう考えていたのも束の間、隣で結月が酒を一口飲んでいた。
「ぷはぁ。んー何か変な味だね」
「え、ちょ、大丈夫!?」
「心配し過ぎだって。死ぬ訳じゃねぇんだからよ」
焦る晴登を、カズマが一蹴する。確かに酒を少し飲んだ所で、普通の人ならばあまり影響は無い。見ると、終夜や緋翼も一口は飲んでいる。晴登もきっと一口くらいなら問題無いだろう。飲んでみようか・・・そう思った刹那だった。
不意に身体に何かがのしかかる。
「ふぇぇ…」
「え、結月!? どうしたの!?」
「ありゃ、もう酔ったのか?」
正体は顔を赤く火照らせている結月だった。まさかの、一口だけで酔ったらしい。そのあまりの酒の弱さに、さすがにカズマも驚いていた。
「ハルト…何か身体が熱いよ…」
「わかった! わかったから離れろって!」
トロンとした表情で見つめてくる結月を、晴登はたまらず引き剥がそうとする。だが体重をかけているようで、思うように動かせない。
「結月待って・・・って、うわぁ!?」
「ふふふ、ハルトー」ギュッ
「ちょっ、ここで抱きつくなって!」
周囲の目も気にせずに抱きついてくる結月に、晴登は頬を真っ赤にしながら抵抗する。しかし、動かないこと山の如し。
晴登は恐る恐る周囲に顔を向けた。その時、カズマと目が合う。その顔はこれ以上無いくらいにニヤけていた。
「お前らってそういう関係なのな。そっかそっかー」
「うっ……」
カズマの一言が晴登に刺さる。しかしこの状況では、否定のしようがない。誰がどう見ても、そう見えてしまうのだ。
「ま、良いんじゃねぇの。それも青春──」
「ちなみに、コイツら同棲してますよ」
「・・・夫婦だったのか」
「違いますっ!」
カズマが驚愕の表情を浮かべているので、素早く訂正。入れ知恵をした張本人である終夜は、声を上げて笑っていた。なにこれ、酒のテンションってやつ?
「んで、どうすんの? その娘、寝ちゃったみたいだけど」
「え? ホントだ…」
カズマの指摘で、結月が晴登に抱きついたままグッスリと寝ていることに気づく。いきなり抱き着いて、いきな
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