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真田十勇士
巻ノ百十六 明かされる陰謀その七
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「大丈夫じゃ」
「他の大名はつかぬので」
「大阪城だけならですか」
「攻め落せますか」
「そう出来ますか」
「お主達はあの城を大きく見過ぎておる」
 やはりいくさ人として言う大久保だった、これまで槍一筋に生きて来たと自負しているだけに戦のこともわかっているのだ。
「城だけで戦は勝てぬ」
「ですか」
「あの大坂城を拠点に戦えば強いですが」
「縦横に暴れられまする」
「あの辺りを」
「それが出来ればな」
 大坂城を拠点に暴れらればというのだ。
「我等も危ういが」
「と、いいますと」
「あの城に追い詰めるとですか」
「勝てる」
「若しくは篭られると」
「どんな城もその城だけになって篭っては終わりじゃ」
 ここでもいくさ人として言う。
「囲んでおればやがて兵糧も尽きるな」
「そこまで囲めばよいですか」
「兵糧攻めにすれば」
「あの堅城も攻め落せる」
「左様ですか」
「小田原城も陥ちたな」 
 この城も天下に難攻不落と謳われたが、というのだ。
「守るのは人じゃ、戦は城を攻めるか」
「いえ、人を攻めるものです」
「兵法にはしかとあります」
「その様にあります」
 周りの者達もそれはわかっている、彼等にしても武士であり兵法はわかっているし戦にも出ている。大久保から見れば子程の齢の者達ばかりであるが関ヶ原等の戦に出ていてそうしたことはわかっている。
「ならばです」
「あの城を攻めずにですな」
「人を攻める」
「そうすればですか」
「攻め落せる、その戦でな」
 起こればとだ、大久保は意を決した顔になってまた言った。
「わしはこの雪辱を果たすぞ」
「お助しますぞ」
「及ばずながら我等も」
「そうさせて頂きます」
「いつも我等に何かと教えて下さる大久保殿ならば」
「是非共」
「済まぬな。わしはこの度のことで多くのものを失ったが」
 このことは事実だ、彼にとっては耐え難いことである。
「しかしまだ多くのものがあるわ、武士の誇りに三河武士の意地、槍にお主達じゃ」
「我等もですか」
「そう言って頂けますか」
「多くの友がおる、あの親子にはこれだけの友はおるまい」
 本多親子、彼等にはというのだ。
「その持っているもので戦っていくわ」
「はい、是非」
「共に戦いましょうぞ」
「三河武士の意地を胸に」
「天下に我等の戦を見せてやりましょうぞ」
 三河以来の武士達も言う、そうして大久保を盛り立てていた。大久保は確かに強い屈辱を感じていたがその心は完全に折れていなかった。
 大久保家の話は九度山にも伝わった、その話を聞くとだった。
 昌幸は幸村にだ、深い思案の顔でこう言った。
「この度のことは大きい」
「はい、切支丹はですな」
「断じて許さぬとな」
「幕府は動きで示しま
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