第六章
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「またメール送るから」
「私も。じゃあ」
そして正代もこの言葉を言った。
「さようなら」
「うん・・・・・・」
聡は静かに頷き日が暮れるまでコスモスを見た。そのうえで別れた。
次の日のホームルームは正代の転校の話だった。聡は先生からの言葉を虚無の中で聞いた。それから暫く一人でコスモスを見ていた。
この日は駅前にあるのとは別の公園で赤のコスモスを見ていた。公園のベンチに蹲る様に座り虚ろな目でそのコスモスを見ていた。
その花をただ見ていた。放課後なので時間はあった。
それでただ見ていた。こうしてコスモスを何日も見ていた。ただ見ているだけだった。
ベンチに座っているのは彼だけだった。そもそも周りも見えていなかった。
コスモスは見ている、それだけの彼だった。赤いコスモスもセピア色に見えていた。
しかし急にコスモスに色が戻った、横から声がしてきた。
「ねえ」
「!?」
聞き覚えのある声だった。その声に反射的に振り向いた。
するとそこには彼女がいた。彼の横に座り微笑んでいた。
その正代を見て彼は思わずこう言った。
「確か」
「うん、お父さんは転勤したけれどね」
それでもだというのだ。
「私は無理を言って残ったの」
「学校に?」
「そうしたの」
こう静かに笑って聡に話す。
「転校ってことになったけれどね」
「学校に戻ってくるんだ」
「お家は寮に入るから」
二人の通っている高校には寮もある。男子寮と女子寮がありその他にそれぞれの部活の寮もある。部活の寮は大きな部限定だが。
その寮に入るからだというのだ。
「だから安心してね」
「寮に入ってそれで」
「一緒にいられるから」
「ひょっとして」
「一緒に見たいから」
正代はあの時に聡に言ったことをこの日もそのまま言った。
「そうしたの」
「それでなんだ」
「これからも一緒に見ていいよね」
今度は聡に尋ねた。
「これからもね」
「お願いできるかな」
聡も聡でこう正代に尋ねた。
「そうしていい?」
「お願いね」
これが正代の返事だった。
「そうしてね」
「そう。それじゃあね」
「うん、これからもそしてそれからも」
一緒に見たい時間は少し先ではなかった。それからもだった。
正代はその先の時間も見ながらそのうえで聡に対して述べたのである。
「一緒にいよう」
「そうだね。そえじゃあね」
「このコスモスも」
今二人が見ているそのコスモスもだった。
「一緒に見ようね」
「そうだね。このコスモスも他のコスモスも」
「今のコスモスも」
「二人でずっとね」
聡はコスモ
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