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そうだ、つまらない話をしてあげよう
鳥籠のお姫様
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 慌てふためく婆やに蔑むような視線を送る。やっとその視線に気が付いてくれた婆やは、キッと鳥籠を睨み付け

「なんて恩知らずの鳥だろうね!
 怪我して飛べなくなったあんたを介抱して飛べるまでにしてやったのは姫様だってのにっ! なんて恩知らずな罰当たりな鳥なんだろう!」

 ぼそりと最後に「……鳥籠に囚われてんのは姫様も同じだってのに」と、言っていたように聞こえたのは空耳かしら。

 がみがみとまだムジルに悪態つく婆や。高々鳥一匹に何をそんなに怒っているのかしら。もしかして窓を閉め忘れた私への当て付けかしら。
なんてことを思いながら、冷たい北風が入る窓を閉めた。

「ピヨッピヨピヨッ」
「……ぁ」

 窓を閉める一瞬、彼の綺麗な歌声が聞こえたような気がした。
そう、貴方は自由の世界に帰ったのね。……私を置いて。

「ふっ、冗談よ」
「姫様?」

 くすりと笑ったのがそんなに変だったかしら? 婆やは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まっているわ。

「そうね、次に飼うのは鳩でもいいかもしれないわね――」









                          *鳥籠のお姫様*fan
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