アインクラッド編
歩く一行
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ゃないゲームだと、移動するのにマウスとかキーボードとかコントロールを操作する必要があるから、チャット窓に発言を打ち込む暇なんかないよ」
「確かに・・・そうだな」
無言でフィールドを駆け抜ける戦士達の姿を想像してアスカはぽつりと言葉を洩らす。
「本物はどうなんだろ・・・・?」
「ん? 本物って?」
疑問符を浮かべているキリトにアスカは脳内のイメージをそのまま説明する。
「例えばだけど、本物のファンタジー世界があったとしたら、そこに住む剣士や魔法使い達は恐ろしいボスを倒すための道のりではどんな話をするのか・・・黙って歩くのか。そういう意味」
「・・・・・・・」
子供っぽい疑問だとは自分でも思っていたので、アスカはすぐに撤回しようとしたが、キリトがかなり真剣な表情で考えているので、見守る。
するとキリトが、
「死か栄光への道行き、かな」
と発した言葉がアスカの耳に届く。
「それを日常として生きている人たちなら、ご飯食べに行ったりするときと同じだと思うな。喋りたいことや必要事項があれば会話するだろうし、無ければ黙る。・・・・そんな風にいつかこの世界のボス攻略もなっていくと思うよ。ボス攻略を日常に出来たらの話だけど」
「日常・・・か・・・。この世界は究極の非日常なのにな」
「まあ、それは否定しないけどさ」
そう言ってキリトは笑ってから、静かに言う。
「でも、いつか日常となる日が来るってわたしは思うよ。今日でもう4週間。仮に今日、ボスを倒せたとしても、終わりはまだまだ先。1層を10日・・・・いや1週間で突破し続けても2年はかかるんだからね」
「2年・・・・」
もはや絶望や恐怖がアスカを襲うことはなかった。
代わりに今は諦めに似た感情が心に芽生えてしまっている。
2年後も自分が生きて戦っている姿を想像できない。
今日のボス戦で自分が死んでしまう姿は容易に想像できるというのに。
「強いな・・・。俺は2年間もこの狂った世界に居続けることは、今日のボス戦で死ぬことより辛いことに思える・・・・」
「・・・・わたしも絶対に生き残れるって確信があるわけじゃないけど・・・・・生きたいって思う気持ちをちゃんと見つけたから」
そう言って笑うキリト。
その姿がとても強くアスカには思えた。この世界のプレイヤーとしてのレベル、技術などよりも遙かに大事で価値のある強さ。
羨ましい、と思ってしまう。自分にはそれが見いだせていないのだから。
そこで、アスカとキリトに、視線が飛んでくる。
二人して前を向いて視線の主を捜す。視線の主は前方にいるE隊のリーダー、キバオウ。
その瞳には明らかに友好的ではない感情が込められている。殺気立っていると言う方が適切だ。
アスカは気分が悪くなるのを止められ
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