第二章
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「充分楽しいしね」
「この街で生きて」
「そして生きるんだね」
「そう、そうしていくからね」
こう言って実際に彼はラビになる為に学問を続けた。この夢は適い彼はラビになれた。そしてその彼にだった。
ある同胞の若い女性が礼拝の後でそっと言ってきたのだった。
「あの、いいですか?」
「はい、何でしょうか」
ヨセフはその女性に応えた。見ればすらりとしており肌は透き通る様に白い。コバルトブルーの目はサファイアの様に輝き髪は雪の様に白い。
その彼女がだ。こう彼に言ってきたのだ。
「ラビのお名前は」
「ヨセフといいます」
まずは名から名乗る彼だった。
「ヨセフ=シェリンフィールドといいます」
「そうですか。シェリンフィールドさんですか」
「ヨセフで結構です」
初対面でこうなるのがやはりアメリカだった。ユダヤ系というマイノリティーと言っていい立場だがそれでもアメリカ人はアメリカ人なのだ。
だからこう女性に返してそこからこうも言った。
「それでなのですが」
「それでとは」
「お嬢さんのお名前は」
彼女の名前も聞いたのだった。その細面で身体つきと同じくすらりとした顔立ちも見ながら。
「何というのでしょうjか」
「ユディトです」
女性はこう名乗った。
「ユディト=クラウスです」
「クラウスさんですね」
「ユディトと呼んで下さい」
彼女もこう返す。
「名前で」
「そうですか。ではユディトさん、私に何か御用でしょうか」
「はい、宜しいでしょうか」
こう言ってからそうしてだった。ユディトはヨセフに何かというと近付いてきた。それはまさに口実でありユディトはヨセフと次第に接近していき。
やがて結婚した。そしてだった。
二人の間には子供ができた。それも三人もだ。最初は男の子で女の子が二人続いた。ヨセフは授かった子供達を見ながら妻に話した。
「幸せだね」
「そうですね。子供達も授かり」
「家庭は円満だしね」
「幸せがここにありますね」
「食べるものにも着るものにも困っていないよ」
慎ましやかだがそうだった。家族はそうした心配からは解放されていた。信者、ユダヤ教徒達からの寄付でそうした生活を送れていた。
無論ラビとして多忙な生活だ。しかし彼はその多忙さについても言うのだった。
「仕事があることもまた」
「いいことですね」
「神が仕事を与えて下さっているんだ」
ヨセフは幸せに満ちている顔で妻になったユディトに話していく。
「こんな有り難いことはないよ」
「それに働けるだけの健康もあるわね」
「そう。そして家もあるし」
ユダヤ教のラビの寺院だ。そこに一家で住んでいるのだ。
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