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時代の最先端の科学と時代錯誤の魔法を併せ持つ一見完璧に見える麻帆良学園にも定期メンテナンスというものが存在する。
年に二回、夜8時から12時まで学園都市全体が停電し、その間一部の設備を除くすべての電力が停止する。
学園の生徒のほとんどはこの日に備え前日から、もしくは当日に行われる停電セールにてろうそくなどを購入し、8時以降の電灯の代わりとして使用している。
千雨もその一人で、この日ばかりはパソコンを使用するわけにもいかないのでおとなしくろうそくのそばで魔導書を読みふけっている。
もちろん、本来なら今日も例年のように魔導書を熟読する予定だったのだが想定外の事態が発生した。
「おいおいまじか!?」
停電し、準備していたろうそくに火を灯そうとした瞬間、彼女の感覚が異様に強大な魔力を捕らえた。
彼女は急ぎ、窓へと走る。
大きく窓を開き、隅から隅まで学園を見渡すとあることに気が付いた。
「結界の一部が消えてやがる!? ちくしょうなんだってこんな」
こんな時に、そう言おうとして気が付く。
強大な魔力、そしてここ最近騒ぎを起こしていた吸血鬼の存在に。
「マクダウェルのやつか……」
そう思いいたるとすぐさま身を翻し、ベッドの下へ腕を入れ、そこにあるものを引き出す。
それは大きな長方形のジュラルミンケースと一つの衣装ケースだった。
まず衣装ケースを開ける。そこに本来納められるべき衣類はなく、代わりに御札や裁縫針と比べ物にならないほど巨大な針や八卦の印が刻まれ所々に金属が張り付けられた籠手のようなものなど、ほかの人間がみれば奇妙としか思えないような品々な収められていた。
千雨は籠手を両手につけて、何度も手を開いては閉じてを繰り返す。
そのまますっと札や針に触れる。すると不思議なことに最初からそこに何もなかったかのように次々と針や札が消えていく。
ある程度を残し衣装ケースを閉じると、次にジュラルミンケースを開く。
そこには一対の日本刀が収められていた。
片や長さ1メートルを超える大太刀に、片や50センチほどの脇差。
それら2つを取り出して、ジュラルミンケースを片付ける。
その後にタンスを開け、そこに隠してあった先日香霖堂で購入した仮面を手に取り、装着。
「さて、……急ぐか」
千雨はそういうと、大きく開かれた窓へと駆け出し、そのまま飛び出していった。
「ひ、ひきょうですよ! クラスメイトを操るなんて!!」
「言っただろう? 私は悪い魔法使いだって」
魔力と妖気を頼りに千雨がたどり着いたその場所にはエヴァンジェリンと茶々丸にネギ先生、となぜかメイド服を身にまとったまき絵、明石裕名、大河内アキラ、和泉亜子4名がいた。
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