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(そういえば吸血鬼の伝説に噛まれたら同じ吸血鬼になるってもんがあったな、噛まれてすぐ変化がなかったことを見ると一時的な物か、それとも遅延性だったかはわからんが……)
ギリ、と千雨は強く歯を食いしばる。
もともと、彼女は自分から魔法使いたちと関りを持つ気なんて欠片もなかった。今回の事件だって自身に危険が及ぶ可能性があったからいろいろ調べていたわけであって、決してネギ先生を助けるためというものではなかった。
ただ、彼女にも人並みの感性は存在する。
人が傷つけば悲しく思うし、不条理なことがあれば怒りも覚える。
彼女が知る限り、今エヴァンジェリンの手下となっている4人は魔法とは関係を持たない一般人のはずだった。
それがああも勝手に吸血鬼化され、ネギ先生と戦う手駒とされているのはいい気がしない。少し間違えれば千雨もあそこにいたかもしれないのだから当然ともいえるだろう。
「マスター!」
「ああ、そこだな」
ただ今回に限りはその人として当然の感性が仇となった。
(しまった!?)
彼女が半吸血鬼となった4人に気をやるあまり、自身のことがおろそかになり彼女の存在を二人に察知される原因となった。
当然、いま彼女がいる場所をエヴァンジェリンの魔法が貫くこととなる。
エヴァンジェリンの放った氷の魔法はすさまじく、並の人間ならば一瞬で哀れな氷の彫刻となり果てるほどの威力を秘めていた。
「まったく、魔法使いってのは物騒なもんだな」
だからと言ってそうやすやすと倒されるような千雨ではない。
何事もなかったかのように氷の柱の隣に姿を現すと、心の中の焦りを表面に出さないようにふるまう。
「ほう、あれを躱すとはなかなかやるようだな」
対するエヴァンジェリンは今現れた不審者をじっくりと観察する。
(こいつ、制服から一応は女だということがわかるが、それ以上のことがわからない……)
狐の面を身に着けた麻帆良学園の制服の女、それ以上のことが認識できなかった。
両手に籠手のようなものを身につけていることから刀などの武術を使うと思われたが、エヴァンジェリンの予想に反し、彼女は手ぶらで何も武器らしいものを持っている様子はない。
声もまるで中性的で、制服がなければ女とは認識できなかったかもれないと彼女は感じた。
「茶々丸、どうだわかるか?」
「いえ分析してはいるのですが、分析する度に違う結果が算出されてしまい……」
そう小さく頭を下げる茶々丸。
(認識阻害の魔法、それも私すら欺くとはよほどの手練れかそれともあの面の効果か)
麻帆良にとらわれている身とは言え、600年を生きた魔法使いである彼女を欺く時点で相当な代物であると彼女は考える。
しかし、今そ
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