第三章
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原になっていた。あちこちに焼け死んだ者達の屍がった。
彼は医師、岡っ引きと共にその吉原に入った。すると。
そこには何もなかった。それでだ。
「あの吉原がな」
「無残だな」
「まさに焼け野原じゃ」
「うむ。火事は恐ろしいものじゃ」
まずは火事のことを話す。そして。
屍を見る。どれも無残なものだった。
「奇麗なおなごだったのじゃろうな」
「そうじゃな」
「それこうしてじゃ」
「惨いことになっておるわ」
医師と岡っ引きがその屍達を見て話す。
「これでは吉原もな」
「見る影もないわ」
こう言って項垂れるばかりだった。そして。
三人で怪我人達の手当てをしていた。その中でだった。
三人は一人の全身に火傷を負った女を見た。その女は。
もう手遅れだった。医師は顔も髪も黒くなっているその女を見てすぐに言った。
「駄目じゃ、もう」
「助からぬか」
「火傷が酷過ぎる」
首を横に振っての言葉だった。
「これではな」
「死ぬか、もう駄目か」
「とても無理だ」
手の施しようもないというのだ。
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