巻ノ百十五 異端の者達その十
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「とてもね」
「私はそうは思いませんが」
「わしもだ」
「私から見ればそうなのよ」
二人の方がというのだ。
「かなりね」
「だといいですが」
「そうだな」
「まだまだ半蔵様には及びません」
「あの方にはな」
「あの方はね」
音精も言う。
「流石にね」
「別格」
「そう言うのだな」
「そうだよ」
実際にというのだ。
「天才と言うべきよ」
「そうだな、確かに」
「あの方は」
双刀と雷獣も頷いて答えた。
「本朝はじまって以来の忍」
「あの方ならばな」
「お一人でも果たされる、我等がここで伴天連の者達を抑えればな」
それでとだ、音精は言いつつ横笛を吹いて鎌ィ足や見えない音の一撃で敵を屠り他の二人も戦うのだった。
神老は何もしない、だが。
彼に向かって言った伴天連の者が刀を奪われその刀で胸を貫かれ息絶える、火球を放った者は。
その火球が神老の手で弾き返され放った伴天連が自分の火球を浴びて倒れる、無明はその横で短い槍で敵を薙ぎ倒し。
左手の短筒も放ちつつ神老に言った。
「いつも通りの鏡の術」
「わしは動かぬ」
実際に動かずだ、神老は無明に応えた。
「刀も使わず術もな」
「使わずに」
「相手の術を返す」
「名付けて鏡の術」
「鏡として敵の術を返し倒す」
「それご老の術」
「伊賀の術でも屈指の術をそこまで使うとは」
道化はその手に持っている奇妙な杖を動かした、すると。
周りにいる伴天連の者達が倒れ動けなくなりそのまま地面に上から押し潰される、そうして敵を倒しつつ言うのだった。
「相変わらず見事」
「何、ものぐさ故に」
「その術を見に着けたっていうんですな」
「そうじゃ」
こう道化に答えた。
「わしはそれだけ」
「しかし見事や」
「まことに」
道化だけでなく無明も言う、無明は淡々と近くに来た敵は槍で刺し払い遠間の敵は短筒で倒していっている。
「我等十二神将の長老だけはある」
「ただ歳を重ねているだけ、では」
「ここは」
「この場にいる敵を倒していこう」
伴天連の者達は本朝にはない小刀を投げてきたりもする、だが神老はその小刀、ダガーも弾き返してだった。
敵達の喉を貫く、この場も三人で圧倒的多数を寄せ付けていなかった。
幻翁は一旦十人に増えた、そうして。
その十人が全員手裏剣を放ち伴天連達を薙ぎ倒す、そうして一人に戻ってからこんなことを言った。
「本来のわしには当たらんかったのう」
「当たる筈もない」
土蜘蛛は巨大な鉄球が付いた鎖を振り回す、その鉄球で敵を次から次に叩き潰してその鎖の柄の先の外に半月状になっている鎌でだ。
近くの敵を切り裂く、巨体からは思いも寄らぬ素早い動きでそうして敵を倒していっている。
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