第七章 C.D.の計略
暴れる侍
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穏なものがあるとなれば黙っていることなどできるはずもない。
すると、同じことを二度聞かれたからか、ようやく絶鬼は答えを返す気になった。
「知れたこと。この地にも新たな魔化魍が生まれつつあろう。この地はそも、魔化魍など出ぬ土地だったはず。その地にこれなる妖魔が現れたとなれば、やはり人とは悪の素となる世の膿であろう。それを浄化、せねばなるまい!!」
「させ」「るか!!」
京介とオボロが駆ける。
そうして、ヒビキとハクオロにもこのことが伝えられ、彼らがこちらに向かうこととなる。
戦闘は短かった。
絶鬼は響鬼と並ぶ鬼。
しかも、戦闘に関しては響鬼よりも上なのだ。
たとえ二人掛かりでも、勝てると見込むには厳しい相手で―――――
「ハァっ!!」
「ムッ!!」
強鬼の音撃棒が、縦に振り下ろされていく。
その二本の打撃を、絶鬼は一本の音撃棒で受け止めた。
横に構えてそれを止め、斜めに傾け滑り落とす。
すると、体重を乗せていた故に強鬼の身体が前に倒れ、そこにカウンター気味に絶鬼のつま先が腹部に突き刺さった。
鋭利にとがったそれは比喩表現でもなんでもなく本当に腹部に刺さり、そこから赤い血が流れ出る。
ゴロリと転がる強鬼。
だが、彼の攻撃はオボロに大きなチャンスを作った。
「是ぁああ!!」
オボロの二刀は、確実に絶鬼を捉えた。
回転しながら切り付けるオボロの斬撃は、二刀ともが絶鬼に左上腕に二つの切り傷を付けたのだ。
そこからはオボロの怒涛の攻撃。
二刀であることと、その身の軽さからとめどなく攻撃を当てていくオボロ。
最初の二撃のような大きな傷はつかないが、5振りに2回は切っ先が掠めている。
このままいけば、勝つことも可能だろう。更にうまくいけば、京介も時期に回復するはず。
オボロの予測はおおむね正しかった。
侍、若しくは武士であった絶鬼は、このような軽業師との戦いが少なかった。
なかったわけではないが、それらは絶鬼の技量で力押しできる程度の相手で、オボロほど洗練された戦士ではなかったのである。
相性と、その卓越した技量。
それらの優位を以って、オボロが絶鬼を押していく。
(素晴らしき剣技よ。軽業師など軟なものと思っていたが、どうしてなかなか・・・)
「だが」
ガシィッッ!!
「なっ、こいつ!?」
「ブゥッッ!!」
バシャッ
「ぐあっ!?」
絶鬼が、口から何かを吐き出した。
オボロの右腕を掴み止め、もう一本の刀を今度は右上腕で受ける絶鬼。
筋肉で刃を止め、さらにそれが抜けないように力を込める。
いくらオボロでも、連撃を想定した攻撃では一
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