第四十四話
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凄い悪いことした気分だ。
俺はチラッと時計を見た。
一一四五。
「……………………まぁ、あれだ。ドンマイ。」
どうやらかなり落ち込んでいるのがわかったらしい。励ます言葉をかけてくれる天龍。
「…………もしさ、謹慎処分中に外に出てるのがバレたらどうなる?」
「延長だな。二倍に。」
「…………………………。」
二倍か…………二倍なら全然大丈夫かな………………いや、明日までずれ込んだら他の人に申し訳無いな…………。
「…………あれだよな、恐らく今、遠征の準備中だよな?」
「おう。遠征に行くときは二、三時間前には知らされて、そこから準備だからな。お前はその間寝てたり提督にお叱りを受けてたりしたわけだ。」
…………傷口をどんどん広げられてそこに塩を擦り付けられてる気分だ。天龍、かなり容赦ない。
「……………………んで、提督は見送りに来るのか?」
「おう。」
…………詰んだ。
「ちなみに、木曾も同じ時間から出撃だ。木曾と時雨と島風と阿武隈で鎮守府近海の対潜哨戒だってよ。」
……………………トドメだよ。木曾にも謝れねぇ。
「まぁ、出撃となると提督と大淀さんは執務室で指示を出さなきゃいけないしな。その間は完全フリーだ。」
……………………まぁ、間宮さんには謝れると。
「……………………千尋?大丈夫か?」
散々傷口を痛め付けておいて、心配するような声をかけてくる天龍。これは、傷付けているという自覚の無い奴だな。
「……………………一気に信用を落とさないか不安で仕方ないっす。」
「…………んー、無いと思うけどな。寝坊なんて誰でもあるわけだし、と言うか、ここにいる殆どの奴が寝坊は経験してるし。」
「天龍、そう言うことじゃねぇ。」
俺は天龍の言葉を遮るように言った。
「…………約束を破るってのは、一番信用を落としやすいんだよ。」
俺は昔から、約束を破るってことに相当な嫌悪感を抱く。
そんなことを三ついっぺんにやったんだ。自分で自分が嫌になる。
「…………あれだな。お前ら揃いも揃ってめんどくさいな。」
「うるせぇ。」
俺はそう言うと、再びベッドに寝転んだ。
「…………まぁ、謹慎頑張れ。後で飯持ってくるから。」
天龍はそう言うと、部屋から出ていった。
「……………………はぁ。」
俺は溜め息をひとつすると、そのまま目を閉じた。
…………不貞寝してやる。
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