第3章 儚想のエレジー 2024/10
21話 望まぬ再会
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た。今回は挟撃ではなく子供の救出を主眼に据えての行動だったが、流石に手際が良い。当然、まともに《索敵》スキルを持たないであろう彼等には看破など度台望むべくもない。あまり本気でやり合うのも馬鹿馬鹿しいので、適当に剣閃をあしらってはたまに突き飛ばす程度に抑えて注意を惹きつけていると、ティルネルが子供を塀の向こうへと逃がし終えたと頷いて報せてくる。あとは安全地帯まで誘導してくれるだろう。
「さっきからチョコマカ逃げ回りやがって! 《圏外》で決着つけるか!? アァ!?」
よほどストレスが溜まっていたのか、片手剣を振り回す一人が怒声を張り上げる。
それにしても、身の程を知らない罵声にもそろそろ飽きてきたし、何よりも彼等は琴線に触れてくる。
「俺と街の外に出掛けるのはいいけどさ、さっきのガキどもはどこに行ったんだろうな?」
「うるせぇ! ワケ分かんねえこと………あ?」
俺の指摘に、周囲を取り囲む全員がキョロキョロと周囲を見回した。
獲物を逃がした焦りが最初に、次いでその怒りが案の定俺に向けられる。
「テメェ、軍の任務を妨害しやがって! 俺達に楯突くことがどういう意味か解ってんのか!!?」
「どこからどう見ても全ッ然楯突いてないだろ。むしろ俺は被害者だぞ」
「そんなの知るか! 解ってねえならじっくり教えてやらぁ!」
俺の弁など聞く耳持たずと言わんばかりに、再び武器を構えて襲いかかってくる。だが、ここからは遊ぶ必要はもうない。
一人目、鈍い突起が威圧的なメイス使いの振り降ろしを上体を逸らして往なし、側頭部に拳を叩き込む。道幅の狭い袋小路故に然したる飛距離もないまま壁に衝突すると、メイス使いは急速に流れる風景に酔って膝を折る。
二人目、背後から返しのついた穂先の槍で刺突を繰り出す長物使いは、ここが《圏内》であることを失念していたらしい。その鋒が俺を貫く前に不可視の障壁に阻まれるのを見逃さずに得物を掴み、一気に引き寄せた。重装備に似つかわしくない軽さを力任せに引っ張られて浮いた身体、がら空きの鳩尾に前蹴りを穿つ。当然、蹴り足は寸前で障壁によって遮られるが相手が空中という固定されていない場所にいるならばそのまま薙ぎ払って吹き飛ばすくらいは不可能ではないし、遠心力で内側を揺さぶられる感覚だけはしっかりと残る。痛覚こそ遮断され、攻撃は届かないでいるものの、吐き気に近い感覚だけは与えられる為に、長物使いは自分の得物を手放しては腹を抱えて蹲る。
痛覚が遮断されているとはいえ不快感には抗えないし、慣れていなければ堪えることも難しい。さながらシステム外状態異常に足止めされる軍の両名をそのまま捨て置き、最後
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