最終章:夢を追い続けて
第62話「集合」
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ドカ、グランツが資料を流し見しながら呟く。
「……やっぱり、気づいていたんだね。私達が元亡国企業の人間だって」
「更識の力を舐めてもらっては困るわね。……でも、気づいたのはIS学園がなくなる直前辺りよ。まさか、学園に二人も元亡国企業の人間がいたなんてね」
「……悪いが、そういう話はまた後でやってくれ」
今はあまり重要な話ではないので、千冬が話を戻す。
「……ユーリは、どうなの?」
「…ユーリは便宜上、人質と言った扱いになってる。……でも、彼らとの関係を考えると、向こうに味方していてもしていてもおかしくはないと思われる」
「……やっぱり、か」
マドカの疑問に簪が答える。
その返答は大体予想していたものだが、簪はそれでも信じたがっているようだ。
「……なぁ、ユーリって誰だ?」
「っと、数馬は知らなかったな。ユーリ・エーベルヴァイン、うちの会社のテストパイロットで、以前IS学園が桜さん達に襲撃された際、そのまま拉致されたとなっている」
「テストパイロット……って、“されたとなっている”?」
ユーリを知らない数馬の問いに、秋十が答える。
ちなみに、弾と蘭も名前だけでは誰か分からなかったが、買い物の時一緒にいた子だと秋十が教えると思い出したようだ。
「……この面子なら話してもいいか。ユーリは、実際には桜さんに自らついて行ったんだ。周囲からの視線などに追いやられてな」
「当時、桜さん達が全世界に向けてハッキングした事で、ワールド・レボリューションの立場が非常に悪くなったの。それで、テストパイロットだったユーリも周囲の悪意で追い詰められて……」
「それは……」
“唆されたのか”と数馬は思う。
心の弱った所に付け込まれれば、ついて行ってもおかしくはないからだ。
「……でも、彼女の立場から考えれば、ついて行って“拉致された”と言う事にするのはちょうど良かったのよ」
「なっ……!?それってどういう……!」
「“被害者”になれば、彼女が追い詰められる事はないからよ。……それに、彼らは元々彼女を“保護”するために学園を襲撃したの。……世間上はテロとしてね」
事実、そのおかげで世間上でのユーリに対する印象は同情が強くなった。
なお、この襲撃の件で桜たちの罪はさらに重くなっていたりする。
「……まぁ、味方になっているにしろ、私達の行動は変わらない」
「……ちなみに、その所はどうなんだ?白」
【黙秘権を行使したい所だけど……どちらでもないって所かな。彼女は大人しくお母さんの基地で暮らしてる。それこそ、普段の日常のように】
秋十がダメ元で白に聞くと、白はそう答える。
【これ以上は答えないよ。私は“見届ける”立場だか
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