譲れない
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のは誰にも言わないでおくことにする。
「でもここまでは花陽ちゃんがちょっとリードかな?」
「え?なんでですか?」
正気を取り戻した雪穂が今の言葉の真意を尋ねる。それに彼はニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
「ピッチャーの仕事は投げることだけじゃないってことさ」
シニアで投手を務める亜里沙はその言葉の意味をすぐに理解し、雪穂はそれがどういう意味なのかわからずクエスチョンマークを浮かべていた。
バシッ
「ストライク!!バッターアウト!!スリーアウト!!チェンジ!!」
「す・・・すみません・・・」
わずか5分ほどで終わってしまった攻撃。高めのボール球を振っての三振に倒れた花陽は申し訳なさそうにベンチに帰ってくる。
「大丈夫ですよ、今は投げることに集中してください」
「うん!!ことりたちもごめんね、全然打てなくて」
この回先頭の海未もことりもツバサの速球の前に三振に倒れてしまった。これで彼女も花陽に並ぶ九者連続奪三振。試合は4回表に入っていく。
「ダブルスプリット、高速スプリット、スライダー、コーナーに決まるストレート・・・間違いなく今まで戦ってきた投手の中で一番いい投手だろう」
円陣を組んだUTX。その中心にいる西村はここまでの花陽の投球を見てそう言う。
「だがどうってことはない。ここから二順目だ。基本に立ち返ってセンター返しを心掛けろ。決して捉えられない投手じゃないぞ」
「「「「「はい!!」」」」」
円陣が解けると先頭の英玲奈が打席に向かう。彼女は打席に入り足場を慣らすと、花陽にバットを向ける。
「英玲奈、すごい集中してるわね」
「トップが出てくれなきゃ話にならないっていつも言ってるもんね」
これまで4番を担っていたため、クリンナップの前に走者が出ることがどれだけ重要かよく理解している。
(ここはどんな形でもいい、確実に塁に出る)
気合いが入っているスラッガー。穂乃果はその姿を見て初球ナックルを要求する。
これ英玲奈は打ち気を逸らされた形になり1ストライク。続くボールもナックルだがこれは抜けて1ボール1ストライクとなった。
(ダブルスプリットは多投させないことって言われてるけど・・・)
絶対的な決め球を手に入れたはいいがそれを使うまでに追い込む方法が限られてくる。次なる攻め手をどうするべきか、穂乃果の手が止まった。
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